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連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】「映画のようだった」川崎戦 湘南はなぜ、面白い試合ができるのか

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2015年08月24日

「なくてもいいから面白くなきゃいけない」

この日の湘南は間違いなく「素晴らしい90分」をファンに提供したはずだ。 (C) SOCCER DIGEST

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 さて、第三者に過ぎない私が存分に楽しんだのだから、湘南サポーターにとって格別な勝利になったはずだ。最高の週末、ビールも進んだのではないだろうか。
 
 日頃の憂さを忘れるような、素晴らしい90分を提供する。
 私はこれがプロチームの責任だと考えるが、BMWスタジアムに足を運ぶたびに、湘南がこの課題に真摯に向き合っていることを実感する。
 
 攻撃的でひたむきで清々しい彼らのプレーを見ていて、私はふと、一時代を築いた棋士の名言を思い出した。
「棋士はなくてもいい商売だから、ファンにとって面白い将棋を指さなければならない」
 
 これはサッカーにも当てはまる。
「サッカーはなくてもいい商売だから、ファンにとって面白いゲームをしなければならない」のだ。
 
「なくてもいい商売」と書くと反発を受けるかもしれない。だが、Jリーグが消えても国民の生活が立ち行かなくなるということはない。それにJリーグ前夜も、日本人はサッカーを楽しんでいた。
 
 思うに湘南に携わる人々は、この「なくてもいい商売」という現実をしっかりと理解して仕事に取り組んでいる。
 
 サッカーはなくてもいい商売であり、だからこそ観客の一人ひとりを魅了する努力をしなければならない。好きなことを仕事にするには、それだけの厳しさが付随する。だから勝っても負けても、湘南の選手はいつもすべてを出し尽くすのだ。何度も消滅の危機を迎えた経験が、いまに生きているのだろう。
 
 少し脱線するが「なくてもいい商売」と言えば、私がやっているサッカーライターはその最たるものだろう。ライターがいなくなったところで、サッカーが消えることはない。ファンはいつものようにサッカーを楽しむだろう。だからこそ私たちは、価値があるものを提供しなければならない。
 
 8月22日、BMWに足を運んだ湘南サポーターはスリルと興奮に満ちた映画を存分に堪能した。
 
 湘南が全力で体現する「なくてもいいから面白くなきゃいけない」の精神、それはいま日本サッカー界にもっとも欠けているものかもしれない。
 
取材・文:熊崎敬
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