清水、内容的には善戦も結果は完敗。モヤモヤのなかで見えたJ1王者川崎との差

カテゴリ:Jリーグ

前島芳雄

2022年05月08日

「もう少し怖がらずに行けたところもあった」

山原(29番)が好クロスで決定機を演出。清水はほかにもチャンスを作ったが、得点には至らなかった。(C)SOCCER DIGEST

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 とはいえ、41分にはチアゴ・サンタナのミドルシュートがポストを直撃したほか、19分の中山克広の裏への抜け出しからのシュート、64分の左CKからの片山のシュート、79分の山原怜音のクロス、90+3分の左CKからのオ・セフンのヘッドなど、決定機も少なからずあった。そこで1本決まっていれば……という無念さはあるが、GKチョン・ソンリョンの好守に阻まれた場面もあった。

 それらに加えて内容的に気になるのは、平岡宏章監督が反省した部分だ。

「相手のボールの動かし方に対して、アプローチに行けなかったところがあります。それはいろいろ戦術的なところもあるかもしれませんが、もう少し怖がらずに行けたところもあったと思います。失点シーンを含めて相手に隙を与えてしまいましたし、前半はちょっと消極的だと感じました」

 その要因としては、連戦の疲労もひとつあるだろうが、川崎の巧みなボール運びに対して、寄せが後手を踏んだという面もあるように見えた。
 
 例えば、中盤のわずかな隙間に顔を出してボールをピックアップし、前を向いて推進力を生み出していくプレーは、清水では鈴木唯人が得意とするところだが、川崎では中盤の3人や右ウイングの家長らが揃って同様のことができる。

 それをさせないためには、ディフェンスラインを今以上に上げて中盤をさらにコンパクトにし、前線からのプレッシャーも高める必要がある。だが、一発のフィードからマルシーニョやレアンドロ・ダミアンが裏に抜け出す形もあるので、ラインを上げるのにも恐さが伴う。

「もう少し怖がらずに行けたところもあった」という課題を克服するには、もう少しチーム全体の自信が必要だろう。当然そのためには、もっと結果を積み重ねていくことが欠かせない。そのあたりは発展途上のチームの難しいところだが、チーム全体でブレずにそこを追求し続けられるかが今後の注目点となる。

 川崎は早い段階で2点を先行したことによって、無理にギアを上げる必要がなくなり、冷静な試合運びを続けることができた。3点目が取れなかったことは不満だろうが、追いつかれる恐さはあまり感じていないように見えた。

 ただ、前半を0-0や1-1で折り返し、終盤まで1点勝負の展開に持ち込むことができていたら、清水にも十分勝機は見えたはずだ。勝負は水ものというなかで、今回はそこが清水側には傾かなかった。そうなると、勝ち切る力や経験値の差が結果に表われてしまうという悔しさは、今後の糧にしなければならないだろう。

取材・文●前島芳雄(スポーツライター)

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