ユアスタに“凱旋”した仙台ユース出身の千田海人と吉田伊吹。夢の舞台で示した成長

カテゴリ:Jリーグ

小林健志

2022年05月02日

「絶対決めてやろうと思っていたのですが…」(吉田)

 同じ宮城県出身FW齋藤恵太に代わって途中出場した吉田は、投入直後の63分にコーナーキックのこぼれ球を右足で押し込もうとしたが、それを阻んだのは、仙台ユースからトップ昇格した3年目のGK小畑裕馬だった。吉田は78分にもMF稲葉修土のクロスからヘディングシュートを放つが、小畑にファインセーブされてしまった。

「ユースでお互い育ってきた選手と対戦できたことは嬉しいことですし、そういう選手に決められるのはすごく悔しいので守れて良かったです」と語る後輩の小畑のシュートストップに対して、吉田は「新人研修の時も一緒で何回か話もした相手で、絶対決めてやろうと思っていたのですが、決めきれなくて悔しいです」と悔やんだ。

 奮闘は見せたが1-3と敗れた秋田。千田も吉田も悔しさを噛みしめながら、試合後は秋田サポーターに挨拶した後、元仙台DF飯尾竜太朗と共に仙台サポーターへ挨拶し、大きな拍手を浴びた。

「自分がジュニアユース、ユースの時、スタンドからよく見ていて、ボールボーイで近いところからも試合を見ていたピッチで戦えたのは嬉しいことですし、今まで自分に関わってくださった方々も喜んでくれていると思いますが、結局負けてしまって自分も結果が残せていないので悔しいです」(吉田)
 
 夢に見たユアスタでの試合は、千田にとっても吉田にとってもほろ苦い結果に終わったが、この日、仙台で全得点に絡んだ宮城県出身MF遠藤康はこう語る。

「試合中も話しかけられて、年末フットサルをやるメンバーもいて、宮城県出身選手が活躍するのは嬉しいですね。切磋琢磨して、今秋田でやっている人も仙台でやっている人も、もっと上を目指してやってほしいですし、現状に満足しないでJ1のトップや海外でやれるようにみんな頑張ってほしいです」

 この試合では自分たちの思い描いていた結果は得られなかったが、かつてプレーを夢見た舞台での試合経験が今後の糧になれば良い。仙台とは最終節で再戦。今度はホームでの試合で、一回りも二回りも成長した姿をぜひ見せたい。

取材・文●小林健志(フリーライター)

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