見極めの時期は終わり、本格的な強化に突入した新生ミラン。

このところは主力メンバーのトップ下としてプレーする機会が多いが、結果を出しているとは言い難い本田。相変わらず移籍の噂も流れるなかで(クラブは背番号発表時に残留を明言)、そろそろインパクトを残したいところだ。 (C) Alberto LINGRIA
ただ、ここ3試合でミランが得点できなかったのは、バッカ、L・アドリアーノだけが原因ではない。このチームには他にもうひとつ、大きな問題が存在する。
首脳陣が早急に解決しなければいけない問題、それはレジスタの不在だ。今のミランには、ゲームを作る人間がいない。リッカルド・モントリーボはコンディション作りが遅れているし、アンドレア・ベルトラッチとジャコモ・ボナベントゥーラは攻撃要員だ。
ナイジェル・デヨングとアントニオ・ノチェリーノはゲームを作るというより、走り回ってこそ真価を発揮するダイナモであり、ジョゼ・マウリは今のところ、あまりにも大人しすぎる。
そして本田圭佑も、プレシーズンマッチでは良いところを見せられていない。影が薄く、身体も重く、ビジョンもなく、ひらめきもなく、疲れている……。
こうした現状は、バイエルン戦のデータからもはっきりと――そして無慈悲なほどに――読み取れる。
ボールポセッションは35パーセント、ゴール枠に飛んだシュート0本(バイエルンは6)、ゴール枠外のシュート3本(バイエルンは10)、獲得CKは0個(バイエルンは13)、効果のあったパスは231本(バイエルンは503)。その差は歴然だ。
もっとも、相手は欧州の4指に入る強豪である。ミハイロビッチ監督も試合後に語っている。
「ある点においては、私はこの試合に満足している。自分たちとトップチームとの間にどのぐらいの違いがあるのか、そして彼らのレベルに追いつくには何をしたらいいか、を選手たちに分からせることができたからだ」
もちろん、このプレシーズンは悪いことばかりでもなかった。中国でマドリーと最後まで互角にやり合ったことは、選手たちを勇気づけた。マドリーもバイエルン同様、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグでベスト4に残ったチームだ。
このマドリー戦でミランは、無様な姿を見せなかっただけでなく、自分たちらしさを持ってとても良いプレーをした。自分たちがどんなプレーをしたらいいかも分かっていた。
現在、ミハイロビッチ監督は、次の点に力を入れている。毎日毎日、フォーメーションの練習を繰り返すことで、その動きを身体に叩き込む。プレッシャーをかけて、できるだけ早くボールを取り戻し、基本的にはツータッチでゲームを進めていく。
他にも、オフ・ザ・ボールの動き方、トップ下は両サイドの選手が切り込むためのスペースを作ること、DFは常に高い位置に立つこと……。
これらのことは、マドリー戦では全てがうまくできていた。今のミランに必要なのは、それを持続させることだ。チームがきちんとした方向性を示せば、選手たちも自分が何をしなければいけないかを理解することができるだろう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
首脳陣が早急に解決しなければいけない問題、それはレジスタの不在だ。今のミランには、ゲームを作る人間がいない。リッカルド・モントリーボはコンディション作りが遅れているし、アンドレア・ベルトラッチとジャコモ・ボナベントゥーラは攻撃要員だ。
ナイジェル・デヨングとアントニオ・ノチェリーノはゲームを作るというより、走り回ってこそ真価を発揮するダイナモであり、ジョゼ・マウリは今のところ、あまりにも大人しすぎる。
そして本田圭佑も、プレシーズンマッチでは良いところを見せられていない。影が薄く、身体も重く、ビジョンもなく、ひらめきもなく、疲れている……。
こうした現状は、バイエルン戦のデータからもはっきりと――そして無慈悲なほどに――読み取れる。
ボールポセッションは35パーセント、ゴール枠に飛んだシュート0本(バイエルンは6)、ゴール枠外のシュート3本(バイエルンは10)、獲得CKは0個(バイエルンは13)、効果のあったパスは231本(バイエルンは503)。その差は歴然だ。
もっとも、相手は欧州の4指に入る強豪である。ミハイロビッチ監督も試合後に語っている。
「ある点においては、私はこの試合に満足している。自分たちとトップチームとの間にどのぐらいの違いがあるのか、そして彼らのレベルに追いつくには何をしたらいいか、を選手たちに分からせることができたからだ」
もちろん、このプレシーズンは悪いことばかりでもなかった。中国でマドリーと最後まで互角にやり合ったことは、選手たちを勇気づけた。マドリーもバイエルン同様、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグでベスト4に残ったチームだ。
このマドリー戦でミランは、無様な姿を見せなかっただけでなく、自分たちらしさを持ってとても良いプレーをした。自分たちがどんなプレーをしたらいいかも分かっていた。
現在、ミハイロビッチ監督は、次の点に力を入れている。毎日毎日、フォーメーションの練習を繰り返すことで、その動きを身体に叩き込む。プレッシャーをかけて、できるだけ早くボールを取り戻し、基本的にはツータッチでゲームを進めていく。
他にも、オフ・ザ・ボールの動き方、トップ下は両サイドの選手が切り込むためのスペースを作ること、DFは常に高い位置に立つこと……。
これらのことは、マドリー戦では全てがうまくできていた。今のミランに必要なのは、それを持続させることだ。チームがきちんとした方向性を示せば、選手たちも自分が何をしなければいけないかを理解することができるだろう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。