【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|ムエタイから学べるサッカーの動き

カテゴリ:特集

サッカーダイジェスト編集部

2015年08月11日

ムエタイの指導で逞しく成長していった彼女。

ムエタイの師匠でもある友人と、一番弟子の女子大生。彼女にとっては初めてのムエタイ観戦だった。

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 ムエタイ観戦には、師匠である友人と弟子の彼女と僕の3人で出掛けたのだが、この試合観戦には大きな意味があった。まずはその彼女のデビュー戦が近づいてきているということ、もうひとつは彼女がムエタイの試合を初めて観戦するということだ。
 
 友人は何度か彼女を試合観戦に誘っていたらしいのだが、彼女は「たくさんの人がいる所へ行くのが怖い」と断っていたのだ。
 
 彼女はいじめられっ子でもあったらしく、男の人と話すことにさえ恐怖心があったという。しかも、自分自身が引っ込み思案で頭が悪く、自信もなくダメな人間だと思っていたのである。まさに昔の『スチュワーデス物語』の堀ちえみの「私はドジでノロマなカメ…」を地でいく状態だったのだ。
 
 その彼女が、師匠のムエタイ指導で日に日に逞しくなり、今ではミットに強力なキレのあるパンチにキックを入れることができるようになった。そしてバイトに都合つけてムエタイのビッグマッチを一緒に見に行けるまでに成長。その試合を見る目は輝き、「いつかあそこに立とう」と思っているかのようにも見えた。
 
 文章に表わすのは簡単だが、実際にはそんな単純なことではない。共にいた時間のなかで、本当に素晴らしい彼の指導を見せてもらった。僕もまた彼の練習から多くを学んでいるのだ。
 
 ムエタイは身体を動かす運動でもあるのだが、もうひとつの要素として座禅のような心のトレーニング、精神修養のような面がある。
 
 サッカー選手にも活かせる、今より速く動くための“動きの練習”も入る。
「頭で考えてしまったらもう遅い」
 今の時代、疎かになってしまっている「姿勢」、どう立つかのトレーニングは奥深い。
 
 そして強い力は力感ではなく、自然な動きであり、相手を倒した瞬間のパンチは力を入れていない力感のない場合が多いと言うが、力を抜いて力を発揮する、つまり氣を出すことの大切さを教えてくれる。
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