森保監督には４－３－３の最適解が出来上がり、前述のMFトリオと伊東以外には、GK権田修一、最終ラインには右から酒井宏樹、吉田麻也、冨安健洋、長友佑都が並び、CFに大迫勇也、左ウイングには南野が入る。だがワールドカップは唯一無二の固定スタメンだけで勝ち抜けるほど甘くはないし、逆に最終予選でお馴染みの「引いた相手をどう崩すか」などというテーマは消え去る。

　また終わってみれば客観的にグループBでは日本の力が抜けており、その点では剣ヶ峰でも「絶対にワールドカップへ行けると信じている」と語っていた森保監督の読みは正しかったわけだが、今後は格上の相手に対する有効な戦い方やオプションと、それに適したメンバーも厳選していかなければならない。

　特に重要なのは、欧州からJリーグへ戻って来たベテラン勢のコンディションの見極めだ。指揮官は経験値に重きを置く傾向が顕著だが、例えば過去３度のワールドカップを戦ってきた長友は自身でも「今の自分では物足らない」「もっとレベルアップしないとベスト８の一員にはなれない」と語っている。
 

　一方で中山雄太が確実に上回ったとも言い切れない状況で、これは右SBの競争も似ている。故障で不在だった酒井の穴は山根視来が見事に埋めたが、世界に出れば対面する左サイドには多士済々の仕掛け人が存在する。守備力に焦点を絞れば依然として酒井に代えは効かないが、マルセイユ時代の期待値からは乖離しつつある。

　さらに日本には最適解が見つからず、代表の活動に関わり切れていない選手が少なくない。三笘薫は重要なジョーカーとして浮上したが、久保建英、前田大然、古橋享梧、旗手怜央、さらには今回外れた鎌田、堂安らも含めて有効なオプションを探る必要がある。東京五輪を振り返っても、極限の負荷がかかる短期決戦への対策は、森保監督にとっても残された重要な課題だ。

取材・文●加部 究（スポーツライター）

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