「気を付けたほうがいい。あいつは嘘つきだ」
最初に直面した困難が新しいドレッシングルームへの適応だった。パリは、13の異なる国籍の選手が在籍する多国籍軍団だ。もちろんネイマールをはじめ旧知のチームメイトも少なくないが、34歳のメッシにとってもそれは未知の体験だった。
「いい意味で驚かされた。思っていたより社交的だ。入団したての頃からね。いろいろ質問もしてくるし、自分自身のことについても話してくれる」
メッシについて同じスペイン語を母語とするチームメイトのひとりがこう印象を述べる一方で、「無口だ。自分の椅子に座り、周りをじっと見ながら観察している」と入団するまで面識がなかった別のチームメイトは異なる意見を口にする。
もっとも、こうして沈黙で身を守るメッシの戦略は、今に始まったことではない。問題は、相手側がそれをどう解釈していいか分からず、不安を生むことだ。しかし、彼らが口を揃えるのは、「オーラがある」という点だ。前出のひとりが付け加える。「レオがいるだけで、ドレッシングルームの雰囲気が一変する。誰からも尊敬されている」
「いい意味で驚かされた。思っていたより社交的だ。入団したての頃からね。いろいろ質問もしてくるし、自分自身のことについても話してくれる」
メッシについて同じスペイン語を母語とするチームメイトのひとりがこう印象を述べる一方で、「無口だ。自分の椅子に座り、周りをじっと見ながら観察している」と入団するまで面識がなかった別のチームメイトは異なる意見を口にする。
もっとも、こうして沈黙で身を守るメッシの戦略は、今に始まったことではない。問題は、相手側がそれをどう解釈していいか分からず、不安を生むことだ。しかし、彼らが口を揃えるのは、「オーラがある」という点だ。前出のひとりが付け加える。「レオがいるだけで、ドレッシングルームの雰囲気が一変する。誰からも尊敬されている」
そんな入団した矢先の出来事だった。「(マウリシオ)ポチェティーノから電話があったって本当?」チームメイトのひとりがドレッシングルームでメッシに尋ねた。その選手はさらに「気を付けたほうがいい。あいつは嘘つきだ」と畳みかけた。スター軍団でもあるパリは、ポチェティーノのような強靭なパーソナリティの持ち主であっても、簡単に掌握できるチームではない。
もっとも、メッシとポチェティーノの関係は良好で、コミュニケーションも取れている。メッシが新天地で直面した最も大きな困難は、ドレッシングルームでもピッチ上でもなく、もっと身近なところにあった。光の街、パリでの新生活だ。
当初メッシ一家が一時的に居を定めたのが、カタール政府が出資する「ル・ロイヤル・モンソー」だった。しかし凱旋門から800メートル離れたところにある超高級ホテルのエントランスには、常にパパラッチや野次馬で埋め尽くされていた。
そこには妻のアントネラとゆっくり散歩したり、子供たちと遊んだりして過ごしていたカステルデフェルスとは全く異なる生活があった。加えて子供たちを学校まで送るのに1時間、チームの練習場に行くのにさらに1時間を要した。
そして練習から帰ってくると、ホテルの部屋に閉じこもったまま午後を過ごすのが日課となった。アルゼンチン代表のチームメイトでもあるレアンドロ・パレデスは、「新しい国、新しいクラブに適応することは、誰にとっても簡単なことではない。世界最高のプレーヤーももちろん例外ではない」と理解を示しつつ、「でもレオならきっと克服できるはずだ」とエールを送る。
だが、フランスの現地メディアは、そこまで同情的ではなかった。ル・パリジャン紙は「まがい物のようだ」と酷評した。確かにパリ移住後、2か月間以上にわたった新居探しを経て、パリ近郊のヌイイ=シュル=セーヌに引っ越して以降は、住環境は落ち着いた。
しかし、ポチェティーノ監督がその対戦前に「レオは調子がいい」と活躍を予告していたチャンピオンズ・リーグ・ラウンド16のレアル・マドリー戦でパリは痛恨の逆転負けを喫し、8強入りを逃した。環境の変化を乗り越え巻き返しを期したメッシだが、その前途に光明はまだ見えてこない。
文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
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もっとも、メッシとポチェティーノの関係は良好で、コミュニケーションも取れている。メッシが新天地で直面した最も大きな困難は、ドレッシングルームでもピッチ上でもなく、もっと身近なところにあった。光の街、パリでの新生活だ。
当初メッシ一家が一時的に居を定めたのが、カタール政府が出資する「ル・ロイヤル・モンソー」だった。しかし凱旋門から800メートル離れたところにある超高級ホテルのエントランスには、常にパパラッチや野次馬で埋め尽くされていた。
そこには妻のアントネラとゆっくり散歩したり、子供たちと遊んだりして過ごしていたカステルデフェルスとは全く異なる生活があった。加えて子供たちを学校まで送るのに1時間、チームの練習場に行くのにさらに1時間を要した。
そして練習から帰ってくると、ホテルの部屋に閉じこもったまま午後を過ごすのが日課となった。アルゼンチン代表のチームメイトでもあるレアンドロ・パレデスは、「新しい国、新しいクラブに適応することは、誰にとっても簡単なことではない。世界最高のプレーヤーももちろん例外ではない」と理解を示しつつ、「でもレオならきっと克服できるはずだ」とエールを送る。
だが、フランスの現地メディアは、そこまで同情的ではなかった。ル・パリジャン紙は「まがい物のようだ」と酷評した。確かにパリ移住後、2か月間以上にわたった新居探しを経て、パリ近郊のヌイイ=シュル=セーヌに引っ越して以降は、住環境は落ち着いた。
しかし、ポチェティーノ監督がその対戦前に「レオは調子がいい」と活躍を予告していたチャンピオンズ・リーグ・ラウンド16のレアル・マドリー戦でパリは痛恨の逆転負けを喫し、8強入りを逃した。環境の変化を乗り越え巻き返しを期したメッシだが、その前途に光明はまだ見えてこない。
文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ番)
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