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「パスを出せ!」遠藤航が同僚に怒る姿にファンは拍手。試合後、“鬼神の如く”躍動した主将に駆け寄ったのは…【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中野吉之伴

2022年03月12日

「エンド―――、サッカーの神よー!」

縦横無尽の動きでチームを牽引した遠藤。(C)Getty Images

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 ポジション的にも役割的にも新しいことにチャレンジをしている。走行距離も求められるダッシュの本数も頻度も距離も違う。プレスのかけ方も違う。プレス時に求められる役割も違う。これまでは周りがプレスにかけて遠藤でボールを回収していたが、今は自身がプレスをかけて味方が回収できる局面を作り出している。身体には戦い続けている疲労も蓄積されているだろう。それでも、遠藤は走る、走る、走る。戦う、戦う、戦う。

 その動きはさらに加速していく。中盤で相手ボールを見事に奪取したシーンでは、記者席近くでビールを飲みまくり、文句ばっかりを言っていたファンが思わず叫んだ。

「エンド―――、サッカーの神よー!」

 さらに象徴的なシーンは57分、右サイドに落ちてきた遠藤にヴァルデマール・アントンがパスを出さないと、思わず両手を広げて怒った。

「パスを出せよ!」

 周りのファンからは拍手が起こっていた。こうした気持ちを出す姿をファンは見たかったのだ。これまでの試合でも全力でプレーしていたのは間違いない。でもこの日のキャプテンが、ファンの待ち望んでいたプレーをしたのは確かだ。

 この選手についていけば間違いないと思わせてくれるパフォーマンス。FWサシャ・カライジッチが決勝ゴールを決めた場面でも、遠藤はゴール前にしっかりと詰めていた。そしてチームメイトみんなで作り上げた喜びの輪に飛びついていく。
 
 アディショナルタイムに入ってからの相手CKの場面で、遠藤は手を叩いてチームを鼓舞。今シーズン、ここまでセットプレーにもろさをみせていたチームだが、今日は違う。全選手がボールへ、そして相手選手へアクティブな動きを見せた。誰も人任せじゃない。

 そのCKのクリアボールは相手選手が収めたが、長い距離をダッシュで距離を詰めて展開を防いだ遠藤がいた。そしてそのあとに訪れた試合終了のホイッスル。思わずこぶしを握り、両手を点に突き上げて、地面に跪いて喜びを爆発させた。長かった。あまりに長かった。

 興奮冷めやらぬ試合後、全選手、スタッフがゴール裏のファンとともに喜びの歌を歌った。歩き出した遠藤のもとに足を運び、ギュッと力強く抱き寄せた人がいた。スベン・ミスリンタートSDだ。力強く長いこと抱きしめていた。どれだけこの日の遠藤が素晴らしかったのかを物語っている素敵な光景だった。

 まだ順位は17位。残留への道は厳しい。でも、この日のチームパフォーマンスがあれば、十分可能性があることを示してくれた。その先陣には、鬼神の如き遠藤がいる。

取材・文●中野吉之伴
 
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