コケのスーパーゴールとビエットのパネンカ。

PK戦で鮮やかなパネンカを披露したビエット。21歳の新戦力が異彩を放つ。 写真:徳原隆元

コーナーキックを直接蹴り込むスーパーゴールを決めたコケは、司令塔としての役割もほぼパーフェクトにこなす。 写真:徳原隆元
さて、鳥栖戦である。
アトレティコはシメオネ流の過酷なトレーニングによる疲労の蓄積、湿度を伴う猛暑、そして時差ボケといったマイナス要因を抱えながら、この一戦を迎えた。
しかしどんな環境下でも、真価を発揮して局面を打開できるのが一流のフットボーラーだ。鳥栖戦が明らかにしたのは、今シーズンのアトレティコにはそうしたクラック(名手)が例年以上に揃っているという事実だろう。
なかでも際立っていたのが、コケとビエットだ。
精度の高い右足で、コーナーキックを直接決める離れ業をやってのけたのがコケだ。開始18分のこのスーパーゴールだけでなく、コケはライン間で巧みにボールを引き出しながら、攻撃のリズムを作る司令塔としての役割をほぼ完璧にこなした。
ビジャレアルから獲得した、今夏の補強の目玉のひとりであるビエットは、ゴールこそなかったものの、アントワーヌ・グリエーズマンやアンヘル・コレアと息の合ったコンビネーションで何度か危険な場面を作り出し、PK戦ではクラックぶりを見せつけた。
決めれば勝ちというシチュエーションでペナルティスポットに立ったビエットは、平然とパネンカ(チップキック)を決めたのだ。テクニックと度胸がなければできないし、決められないのがパネンカだ。それをプレシーズンマッチとはいえ、事もなげにやってのけるビエットは特別な才能の持ち主と言えるだろう。
相手を終始圧倒しながら1-1で90分を終えたのは、チャンスを決めきれなかったから。ただ、そのためにPK戦にもつれ込み、そこでビエットが美技を披露したわけだ。
実際、収穫は少なくなかった。
中盤を幅広く動きながら積極的にボールを引き出しつつ、質の高いラストパスを何本も前線に送ったオリベルと、快足ドリブルに加え、ゴールへの強い意識を見せたカラスコがその筆頭で、このプレシーズンを通して大物の片鱗を覗かせている20歳のコレアも、引き続き好印象を残した。
積極的にピッチを駆け回り、コンディションの良さをうかがわせたフェルナンド・トーレスも、収穫に数えられるだろう。もちろん、決定力不足という相変わらずの課題も露呈はしているが……。
いずれにせよ、アトレティコにとってこの鳥栖戦は、3週間後の開幕に向けて実りある調整試合となったのは確かである。
取材・文:ルイス・アスナール(マルカ紙) text by Luis AZNAR(MARCA)
翻訳:下村正幸
アトレティコはシメオネ流の過酷なトレーニングによる疲労の蓄積、湿度を伴う猛暑、そして時差ボケといったマイナス要因を抱えながら、この一戦を迎えた。
しかしどんな環境下でも、真価を発揮して局面を打開できるのが一流のフットボーラーだ。鳥栖戦が明らかにしたのは、今シーズンのアトレティコにはそうしたクラック(名手)が例年以上に揃っているという事実だろう。
なかでも際立っていたのが、コケとビエットだ。
精度の高い右足で、コーナーキックを直接決める離れ業をやってのけたのがコケだ。開始18分のこのスーパーゴールだけでなく、コケはライン間で巧みにボールを引き出しながら、攻撃のリズムを作る司令塔としての役割をほぼ完璧にこなした。
ビジャレアルから獲得した、今夏の補強の目玉のひとりであるビエットは、ゴールこそなかったものの、アントワーヌ・グリエーズマンやアンヘル・コレアと息の合ったコンビネーションで何度か危険な場面を作り出し、PK戦ではクラックぶりを見せつけた。
決めれば勝ちというシチュエーションでペナルティスポットに立ったビエットは、平然とパネンカ(チップキック)を決めたのだ。テクニックと度胸がなければできないし、決められないのがパネンカだ。それをプレシーズンマッチとはいえ、事もなげにやってのけるビエットは特別な才能の持ち主と言えるだろう。
相手を終始圧倒しながら1-1で90分を終えたのは、チャンスを決めきれなかったから。ただ、そのためにPK戦にもつれ込み、そこでビエットが美技を披露したわけだ。
実際、収穫は少なくなかった。
中盤を幅広く動きながら積極的にボールを引き出しつつ、質の高いラストパスを何本も前線に送ったオリベルと、快足ドリブルに加え、ゴールへの強い意識を見せたカラスコがその筆頭で、このプレシーズンを通して大物の片鱗を覗かせている20歳のコレアも、引き続き好印象を残した。
積極的にピッチを駆け回り、コンディションの良さをうかがわせたフェルナンド・トーレスも、収穫に数えられるだろう。もちろん、決定力不足という相変わらずの課題も露呈はしているが……。
いずれにせよ、アトレティコにとってこの鳥栖戦は、3週間後の開幕に向けて実りある調整試合となったのは確かである。
取材・文:ルイス・アスナール(マルカ紙) text by Luis AZNAR(MARCA)
翻訳:下村正幸