夢を実現するための第一歩として今季、ミランが通る2つの道。

常に世界的なCBを擁して栄光を築いてきたという歴史を持つミラン。この部分の補強なくして、オーナーの野望を叶えることは不可能だろう。写真はターゲットのロマニョーリ(左)。 (C) Getty Images
デルビーでは、インテルが試合の大部分で若手選手のテストを行なったこともあり、あまり目立つことはなかったが、ミランにとって今、何よりも必要なのはハイレベルなCBだ。そのことは、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長もシニシャ・ミハイロビッチ監督も認めている。
現在、ミランにはフィリップ・メクセス、ガブリエル・パレッタ、アレックス、クリスティアン・サパタ、ロドリゴ・エリーがいるが、DFラインを統率できる、国際経験豊かなベテラン、もしくは真に優秀な若手が必要だ。
そこでミランのレーダーに引っかかってきたのが、アレッシオ・ロマニョーリだ。まだ弱冠20歳だが、今、イタリアで一番将来が有望視されているDFである。ローマは移籍金として3000万ユーロを要求しているが(若手選手としてはとんでもない額だ!)、ミランは2500万ユーロ以上を上限として粘っている。
他では、ゼニトの28歳のアルゼンチン人DFエセキエル・ガライも視野に入っている。彼に対しても、ミランは2500万ユーロを提示しているが、ゼニトはそれよりずっと高い額を要求している。
しかし、たとえ予算をオーバーしようとも、ミランはハイレベルのCBを必ず獲得しなければならない。
リヨンとの親善試合(1-2)でも、中国でのデルビーでも、それどころかアマチュアチームとの練習試合でも、ミランは何度もゴールを脅かされていた。早急に手を打たないと、また昨シーズンの過ちを繰り返すことになるだろう。
このように、最大の課題がCBであることは間違いないが、中盤もまだ完璧とは言えない。
獲得したアンドレア・ベルトラッチは、攻め上がることも、ゴールもできるなど、役に立つ選手ではあるが、一流ではない。個性と爆発力を持ったインパクトの強い選手、例えていうなら、ナポリのマレク・ハムシクのような選手が必要だ。
ミハイロビッチ監督は、ハーフの選手にサイドから敵の守備をこじ開けさせようと考えており、それに対応できる選手を獲得しなければならないのである。
そして最後にFWだが、これに関しては、サポーターも首脳陣もひとりのストライカーを待っている。そうズラタン・イブラヒモビッチだ。
ただ、気難しいことで有名なイブラが戻ってくることが、ゼロから再出発しようとしているミランにとって、本当に良いことなのかどうかは、意見が分かれるところだ。このテーマで、1週間は議論することができるほどである。
とはいえ、今のミランには強いリーダーが必要であるのは事実であり、ズラタンはまさにそれに適任の存在だ。
イブラと優秀なCB、そしてもうひとり即戦力のMFが揃えば、ミランはスクデット争いにも加わるチームになれるかもしれない。
しかし、それが叶わなかった場合――特にCBが獲得できなかった場合――は……どんなに良くても3位狙いが精一杯というところだろう。
ミランに通る道は、この2つのいずれかである。ベルルスコーニが望むように欧州のトップに返り咲きたいならば、まずは国境を越えるところから始めなくてはいけない。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
現在、ミランにはフィリップ・メクセス、ガブリエル・パレッタ、アレックス、クリスティアン・サパタ、ロドリゴ・エリーがいるが、DFラインを統率できる、国際経験豊かなベテラン、もしくは真に優秀な若手が必要だ。
そこでミランのレーダーに引っかかってきたのが、アレッシオ・ロマニョーリだ。まだ弱冠20歳だが、今、イタリアで一番将来が有望視されているDFである。ローマは移籍金として3000万ユーロを要求しているが(若手選手としてはとんでもない額だ!)、ミランは2500万ユーロ以上を上限として粘っている。
他では、ゼニトの28歳のアルゼンチン人DFエセキエル・ガライも視野に入っている。彼に対しても、ミランは2500万ユーロを提示しているが、ゼニトはそれよりずっと高い額を要求している。
しかし、たとえ予算をオーバーしようとも、ミランはハイレベルのCBを必ず獲得しなければならない。
リヨンとの親善試合(1-2)でも、中国でのデルビーでも、それどころかアマチュアチームとの練習試合でも、ミランは何度もゴールを脅かされていた。早急に手を打たないと、また昨シーズンの過ちを繰り返すことになるだろう。
このように、最大の課題がCBであることは間違いないが、中盤もまだ完璧とは言えない。
獲得したアンドレア・ベルトラッチは、攻め上がることも、ゴールもできるなど、役に立つ選手ではあるが、一流ではない。個性と爆発力を持ったインパクトの強い選手、例えていうなら、ナポリのマレク・ハムシクのような選手が必要だ。
ミハイロビッチ監督は、ハーフの選手にサイドから敵の守備をこじ開けさせようと考えており、それに対応できる選手を獲得しなければならないのである。
そして最後にFWだが、これに関しては、サポーターも首脳陣もひとりのストライカーを待っている。そうズラタン・イブラヒモビッチだ。
ただ、気難しいことで有名なイブラが戻ってくることが、ゼロから再出発しようとしているミランにとって、本当に良いことなのかどうかは、意見が分かれるところだ。このテーマで、1週間は議論することができるほどである。
とはいえ、今のミランには強いリーダーが必要であるのは事実であり、ズラタンはまさにそれに適任の存在だ。
イブラと優秀なCB、そしてもうひとり即戦力のMFが揃えば、ミランはスクデット争いにも加わるチームになれるかもしれない。
しかし、それが叶わなかった場合――特にCBが獲得できなかった場合――は……どんなに良くても3位狙いが精一杯というところだろう。
ミランに通る道は、この2つのいずれかである。ベルルスコーニが望むように欧州のトップに返り咲きたいならば、まずは国境を越えるところから始めなくてはいけない。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。