これらの条件下で、長友の置かれた立場は非常に厳しい。EU圏外出身選手であることに加え、単純に登録枠が縮小された分、チーム内競争はより厳しくなるからだ。
 
　事実上、SBのポジションは、すでに埋まっている。左で当確とされているダニーロ・ダンブロージオに加えて、右SBには、７月３日に欧州王者バルセロナから24歳のマルティン・モントーヤがやってきた。
 
　同15日に行なわれたプレシーズンマッチに、長友は後半から出場しているが、昇格組のカルピを相手に起用されたポジションは右サイドハーフだった。マンチーニ監督の４バック構想に入っていないことは明らかで、16日付『トゥットスポルト』は「インテルと長友の“アッディオ(＝さらば、永遠の別れ)”は近い」と報じた。
 
　チームは、クラブの国際ブランド力強化やマーケティング戦略のため、１週間の強行日程で中国ツアーに臨んでいる。ただし、アウジリオSDは、ツアーに同行せず、ミラノに残った。移籍市場の動きに注力するためだ。
 
　セリエAの新シーズンが開幕する８月第４週に、長友が袖を通すユニホームの色は、ネラッズーロ（黒・青）のままなのか。それとも異なるクラブカラーになっているのか。
 
　15日、イタリアの民放局「SportItalia」は、「プレミアのウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンが長友獲得へ再び興味を持った」と報道。移籍期間はまだ１か月以上も残っている。予断を許さない状況はもうしばらく続きそうだ。
 
文：弓削高志（フリーライター）