U-17高校選抜で指導した経験がある敵将の蒲原晶昭監督も試合前から警戒していたが、“小林封じ”は容易ではなかったという。
 

「長身でありながらも、足もともある。今日は（U-17高校選抜で）一緒にプレーした宝納（拓斗）に『負けられないぞ』という話をしていた。ただ、DFに当たったボールをうまく収めて決められた。やっぱり小林君は面白い選手と思います。空中戦でも頭ひとつ出るぐらいの高さがあって、頭に当てられたことが多かったので、本当にいい選手です」

　思い返せば、春先までは筋力がなく、どこか動きもぎこちなかった。しかし、朝練習で徹底してステップワークと体幹を鍛錬。その結果、191cmの身体を自在に操れるようになった。山城監督も、「流経大柏の選手と競り合っても負けなかったので、（彼の）自信になったと思う」と教え子の成長を実感する。

　県予選でも４戦９発の大暴れ。その勢いを持続させ、今大会はすでに３試合で２ゴールを奪った。苦しい時にゴールを取ってくれるエースの存在は、チームにとって心強い。全国大会でさらに自信を深めれば、準々決勝以降でさらなるゴールも期待できる。次なる相手は優勝候補の一角・前橋育英。今まで戦ってきた相手以上に手強いが、強豪校からゴールを奪えれば自身の力を示すことにも繋がる。初優勝を目指す大津に現われた絶対的ストライカーから今後も目が離せない。

取材・文●松尾祐希（フリーライター）

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