【川崎】0-1なら射程圏内?先制されても逆転できる強さのワケ

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2021年10月01日

3試合連続での逆転勝利を果たす

神戸戦で3試合連続での逆転勝利を収めた川崎。先制されてもゲームを引っくり返す強さを見せる。(C)SOCCER DIGEST

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 9月29日に行なわれたJ1・28節の神戸戦で逆転勝利を収めた川崎。これで韓国で開催されたACLのラウンド16・蔚山現代戦での敗退後、リーグ戦は4連勝、ACL前の札幌戦を含めれば5連勝で、ひとつ消化試合が多いとはいえ、2位の横浜に勝点差「12」をつけた。

 3試合連続で先制を許すが、0-1からの逆転勝利も3試合連続だ。試合終了間際に劇的な決勝弾を挙げた鹿島戦(アウェー)、湘南戦(ホーム)に続き、神戸戦は1点のビハインドから、後半に一気にギアを上げて3-1の勝利につなげている。

「できれば先制していきたいという想いは変わらずあります」

 そう語るのは鬼木達監督だ。もっとも新型コロナウイルスの影響もあり、グループステージは全勝で勝ち上がりながら、なぜかアウェーの韓国での一発勝負となったACLラウンド16からの帰国後、いわゆる“バブル”に入る隔離生活を余儀なくされたチームは、心身ともに厳しいコンディションで中3日と中2日の連戦に臨んできた。身体が思うように動かない状況もあっただろう。

 それだけに指揮官は個々の状態を見極めながら、主導権を握る基本コンセプトはそのままに、戦い方を先発メンバーに合った形に調整。湘南戦では従来の4-3-3から4-4-2にシステムを変えて臨み、後半には4-3-3に戻して逆転につなげた。臨機応変なパフォーマンスを見せ、勝点を積み重ねているのだ。その点、鬼木監督もこう話す。

「理想を言えば、常に主導権を握って戦いたいと思っています。そういう意味で言うと、自分がもっと前半からのマネジメントや、やるサッカーなど、いろんなことができれば良いのかなと感じています。そこは自分の反省点であるかなと。それと同時に、この期間のなかで、今までやってきたことをそのままずっとやっているだけでは、どこかでパワーが出ないとは言わないですが、最後、相手に持っていかれる戦いにはしたくないので、チャレンジできるところはしていきたいです」

 ここ3試合、前半に苦戦する要因は様々あるだろう。コンディション、相手の川崎対策、そして前へ進むための新たなチャレンジ。それでも前述したように、後半で逆転を果たすのだから見事なものである。相手の戦い方を冷静に分析する指揮官と選手の“目”は、王者たる所以と言えるのだろう。
 試合中の修正力に関して指揮官に話を訊けば、こう答が返ってくる。

「できれば先制していきたいという想いは変わらずあり、そこは自分の課題というか、もう少しなにかできるんじゃないかと思っています。ただ現実、起きている状況から、ひっくり返していることに関しては、今までと違う力の付け方というか、覚悟のようなものがあります。
 
 すべてを圧倒して勝つことを目指しますが、コンディションや連戦の影響で、すべてそれができるわけではありません。そういう想いが頭のどこかにあり、もしかしたら、(ここ数試合の)前半の戦いになっているのかもしれません。ただそれと裏腹に、その分パワーをしっかり持って、最後まで我慢強く臨もうという覚悟みたいなものがあります。

 選手も相手が飛ばしてきているのか、自分たちが悪いのかなど、しっかり把握して(ハーフタイムに)帰ってきているので、自分もこういう状況でこうなっているから、後半はこういけばこうなるとか、そういうことを伝えられます。そこの理解と諦めない気持ち。そういうものは修正という意味では出せているのかなと、実際に0-1であれば悲観せずに帰ってきているのかなという印象はありますね。

 チームとしても個人としても、1試合のなかで良い時間、悪い時間は必ずあると思います。これは選手にはよく言いますが、それをその試合のなかで修正していく。試合が終わってから、ああだった、こうだったとは言えますが、そうではなくて試合のなかで変えていかないと、ゲームは終わってしまう。そこは求めている部分でもあり、しっかり修正しているのはチームとしても個人としても成長していると感じ、力は少しずつ、つけてきているのかなと。ただ、監督としてやはり先行していきたいという想いに変わりはありません」

 神戸戦後、チームは隔離生活を終え、久々に自宅へ帰れたという。しかし鬼木監督がACLからの帰国後、“勝負の5連戦”と見据えたゲームの最終戦、ホームでのFC東京戦(10月2日)までは中2日。守護神のチョン・ソンリョンは「決勝戦のような思いで」と意気込んだように、リーグ連覇に近づくため5連勝を達成できるか。クラブ一丸となって乗り越えてきたこの約2週間の戦いをFC東京戦でも見せ、逞しく前へ進みたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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