ワールドカップのアジア最終予選初戦で黒星発進。率直な感想として、残念でしかないです。オマーン戦は現地で観戦することもできて、その後で映像も確認しました。

　雨もキックオフ前までが特に凄くて、前半はピッチにも少し水が溜まっていて、ボールが走りづらいという感覚もありました。

　そんななかでしたが、ワールドカップへの最終予選、その中での緊張感や、この一戦にかけるという気持ちが伝わってこなかったのは残念です。

　戦う、球際、攻守の切り替え、ボールを奪った後に出ていく、奪われたら戻る、走る、そういう基本的な部分が足りないと、どんな試合でも難しい結果になる。実力は日本の方が上だと思いますが、FIFAランクの下位チームに対しても基本的な部分がおろそかになると、こういう結果になるんだなとものすごく感じました。

　コンディション不良などもあったとは思うのですが、それは代表選手の宿命。親善試合ではないですから、それを言い訳にはできない。

　選手の表情を見ていると明らかに攻守ともに上手くいっていなかったという感じが滲み出ていました。そういう時ほどチーム内で話し合う必要がありますが、周りから見ていて分かるほど流れを変えられなかった。90分間を通して、攻撃も守備もリズムに変化がなく、淡々と時間が過ぎてしまったという感想です。
 

　また、前半から前線の選手の切り替えが遅かったと思いますし、そのため相手のボールホルダーがフリーの状態でボールを持つことが多かった。フリーでボールを持つ相手に対しては、ディフェンスラインも背後のケアのために下がらないといけない。そうすると簡単に相手が中盤のラインまでボールを運べるという状態が続いていました。

　失点シーンもそうですが、ボールサイドでは３対２、クロスを上げられたシーンもペナルティエリア内で３対２と数的優位の中でやられています。やはりこのレベルで、数的優位のなか、ふたつの局面でやられてしまうと失点につながる。細かなポジショニングを含めて、いつもよりも緩かったと思います。

　失点シーンでは、ワンツーされる前に、ボールホルダーに対して古橋選手と柴崎選手がアプローチに行こうとしていましたが、誰が最初に行くのかということがはっきりしておらず、結局ふたり同時に行ってしまい、フォローに来ていた長友選手もボールにアプローチするのか、自分のスペースを守るのか少し中途半端なポジションになってしまった。結局ファーストディフェンダーが決まっていないために、人数が足りていても他の人が対応できない。

　もちろんワンツーで抜け出されたら柴崎選手が付いていかないといけないですが、最後のクロスを上げられた際も、相手が右利きで良いクロスをそれまでにも上げていた選手なので、どこに立つと失点の確率を下げられるかというポジショニングやアプローチの仕方も非常に大事になってきます。

　ペナルティエリア内も３対２ですが、相手が交差して入ってきて難しい対応になりますが、酒井選手、植田選手のマークも甘かった。

　さらに厳しく言えば吉田選手のポジションもあのクロスを上げられそうな状況で、中の人数を確認して、どこに上げられるのが一番危ないか、ポジショニングでもう少し中だったり、あと１メートル、２メートル後ろだったり、そういう細かいポジションのミスが最後の失点につながっていると思います。

　特にサイドの局面でのファーストディフェンダーというのは個人ではなく、グループでの戦術になってくる。ピッチ内の選手でコミュニケーションをとって行くしかないですし、相手のビルドアップに対しては、ピッチ内の選手もそうですが、チームとしてのプランにもなってくると思います。