東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J２のアルビレックス新潟を取り上げる。

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　J２・23節終了時点で３位の新潟は、リーグトップの44得点を叩き出している。

　アルベルト監督体制２年目も「ボールを保持して、試合を支配するサッカー」を継続。ぶれないスタイルがあることで、適材適所な補強が行なわれた。CBに千葉和彦が加わりビルドアップがスムーズになると、最終ラインを高く保ってコンパクトな距離感で前進。前線の選手は組み立てに降りず、攻撃に専念できるようになった。また中盤でボールを奪い切れる高宇洋の加入でショートカウンターも新たな武器となった。
 

　開幕戦から５連勝と絶好のスタートを切ると、13試合負けなしで首位を独走。ただ13節・松本戦（△０-０）は、新潟対策を徹底されて今季初の無得点となった。チーム最強DFに本間至恩を徹底マークさせること。５つのレーンを塞ぐコンパクトなブロックをミドルゾーンで構え、不用意に飛び出さず背後も空けない守備――新潟の攻撃を完封した事例は、その後もいくつかの対戦相手に踏襲された。また第20節・水戸戦（△０-０）のように、勝点１を選んだ相手に守りを固められた例もある。

　アルベルト監督は水戸戦後、「チャンスは作れているし、試合のコントロールもできている。守備も安定している。いいプレーができているにもかかわらず、決定力が足りない。それゆえに勝点を取りこぼしている」とコメント。練習から積極的にシュートを打つことを選手に求め、その後の試合では改善が見られてきた。

　攻撃のギアをもう一段上げる補強として、８月３日に大分トリニータから、FW髙澤優也の期限付き移籍が発表された。181センチのレフティFWは「クロスに合わせるプレーはストロング」「利き足は頭」と自身の特長をアピール。今季、高さがないチームの中でグラウンダーのクロスが１つの得点パターンになっていた。寺川能人強化部長は「（クロスに）ガツッと上から行く選手がいても面白い。違うタイプの点の取り方ができる選手が入れば、厚みが出る」と獲得意図を語った。

「シーズン終盤になるといろんな戦い方が想定されるなかで、高さのある選手がいればプラスになると思った」と、守備面でもヘディングへの期待をしている。今後の補強については、「基本的には戦える選手がそろっている。（サッカーの）形もできているので、その精度を上げていくほうが、残り半分に向けてはいいと思っている。無理にする必要はない」（寺川強化部長）というスタンスだ。

　また、長期離脱から復帰した福田晃斗が「夏の最大の“補強”」（アルベルト監督）として、ポジティブな変化をもたらしている。

　左膝前十字靭帯断裂及び左膝外側半月板損傷による約8か月の離脱を経て、21節・磐田戦で公式戦復帰した福田は、「４-３-３」の左インサイドハーフで出場。味方をサポートしながら攻撃を活性化した。ファウルでつぶされていた高木も「無理にターンせず落とせる位置にいてくれるので、自分に来るプレッシャーを回避できた」と“福田効果”を実感。22節・栃木戦で６試合ぶりにゴールを決め、直近２試合で３得点を挙げている。左SBの堀米悠斗も「相手につかまらない位置で常に準備してくれているので、やりやすい」とビルドアップの選択肢も増やしている。

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