「周りの映像を合成し、上空から撮影したような画を描くことは脳でできる」
東京五輪でベスト4に進出した日本代表が、サッカーファンを魅了するプレーを披露している。例えば、ボランチの田中碧は、的確なパス捌きでゲームをコントロールし、南アフリカとのグループステージ初戦では久保建英の得点をアシストした。
果たして、サッカーで「天才」と呼ばれる選手たちの脳は、いったいどうなっているのだろうか? ここでは、脳科学者の篠原菊紀氏に訊き、「天才脳の全貌」と題してサッカー選手の頭脳に迫る。前編では、創造性溢れるプレーでファンを魅了する「天才的頭脳」への成長要因を解剖してもらった。
後編では、脳と遺伝の関係性を篠原氏が説く。ピッチを俯瞰的に把握している選手は、天性的に空間認知能力を持っているという。
<前編はこちら>
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果たして、サッカーで「天才」と呼ばれる選手たちの脳は、いったいどうなっているのだろうか? ここでは、脳科学者の篠原菊紀氏に訊き、「天才脳の全貌」と題してサッカー選手の頭脳に迫る。前編では、創造性溢れるプレーでファンを魅了する「天才的頭脳」への成長要因を解剖してもらった。
後編では、脳と遺伝の関係性を篠原氏が説く。ピッチを俯瞰的に把握している選手は、天性的に空間認知能力を持っているという。
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――「天才」とは生まれ持った才能と言われることもありますが、遺伝のおかげで機能性が高くなる脳の働きはありますか?
「空間認知能力ですね。9割が遺伝の影響です。周りの映像を合成し、上空から撮影したような画を描くことは脳でできる。遺伝的に小学校低学年からその能力を持っている子どもはいます。とはいえ今は、空間認知能力は俯瞰的に映像を映しているサッカーゲームをやれば身に付く」
――確かに小野伸二選手もサッカーゲームをよくやっていたと。
「たぶん小野選手はサッカーゲームも強かったと思いますよ。サッカーゲームが普及していて周りの仲間も持っていれば、環境は同じ。そういう状況だった場合、能力の差が生まれる次の要因は遺伝です。なので、『天才』と称されるトッププレーヤーになった小野選手なら、空間認知能力も遺伝的にあったはずで、きっとサッカーゲームも強かったかと」
――他に遺伝が影響する能力は?
「脳の話からは少し逸れますが、運動能力です。例えば双子はもちろん家庭環境が同じですが、運動能力に差がある二卵性双生児がいますよね。あれは遺伝が影響しています」
――確かにかつて広島でプレーした二卵性双生児の森﨑兄弟はプレースタイルが違う。兄の和幸は空間認知能力があるパサーで、弟の浩司は前線で果敢に動き回るアタッカーです。
「そうでしょう。なので、『親の育て方が良かった』なんて言葉もよく聞きますが、それよりも遺伝のほうが影響は大きいんですよ」
――なるほど、そうなんですね。遺伝も含め、脳と運動には深い関係性があると勉強になりました。
「ありがとうございます。最後にもうひとつ、中学生を対象にした研究の話もしましょう。全身持久力テストの数字が伸びると、苦手科目の成績が上がる、という結果が出たんですよ。なので、『サッカーダイジェスト』を読んでいる親御さんには、子どもがサッカーを一生懸命に取り組んでいれば、自ずと苦手な教科も得意になるかもしれませんよと、伝えておきたいですね(笑)」
「空間認知能力ですね。9割が遺伝の影響です。周りの映像を合成し、上空から撮影したような画を描くことは脳でできる。遺伝的に小学校低学年からその能力を持っている子どもはいます。とはいえ今は、空間認知能力は俯瞰的に映像を映しているサッカーゲームをやれば身に付く」
――確かに小野伸二選手もサッカーゲームをよくやっていたと。
「たぶん小野選手はサッカーゲームも強かったと思いますよ。サッカーゲームが普及していて周りの仲間も持っていれば、環境は同じ。そういう状況だった場合、能力の差が生まれる次の要因は遺伝です。なので、『天才』と称されるトッププレーヤーになった小野選手なら、空間認知能力も遺伝的にあったはずで、きっとサッカーゲームも強かったかと」
――他に遺伝が影響する能力は?
「脳の話からは少し逸れますが、運動能力です。例えば双子はもちろん家庭環境が同じですが、運動能力に差がある二卵性双生児がいますよね。あれは遺伝が影響しています」
――確かにかつて広島でプレーした二卵性双生児の森﨑兄弟はプレースタイルが違う。兄の和幸は空間認知能力があるパサーで、弟の浩司は前線で果敢に動き回るアタッカーです。
「そうでしょう。なので、『親の育て方が良かった』なんて言葉もよく聞きますが、それよりも遺伝のほうが影響は大きいんですよ」
――なるほど、そうなんですね。遺伝も含め、脳と運動には深い関係性があると勉強になりました。
「ありがとうございます。最後にもうひとつ、中学生を対象にした研究の話もしましょう。全身持久力テストの数字が伸びると、苦手科目の成績が上がる、という結果が出たんですよ。なので、『サッカーダイジェスト』を読んでいる親御さんには、子どもがサッカーを一生懸命に取り組んでいれば、自ずと苦手な教科も得意になるかもしれませんよと、伝えておきたいですね(笑)」