EURO予選を10戦全勝で突破したイタリアは、本大会に入っても勢いは衰えず。ロベルト・マンチーニ監督の攻撃サッカーが機能し、グループステージを無失点での３連勝で首位通過すると、決勝トーナメント１回戦では苦戦を強いられながらも、延長戦の末に２-１でオーストリアを下している。

　53年ぶり２度目の欧州制覇へ期待がかかるアッズーリだが、英紙『The Sun』によれば、その可能性をさらに高める秘密兵器を抱えているようだ。それがセットプレーのスペシャリスト、ジャンニ・ヴィオ氏の存在である。

　元銀行員という肩書を持つ彼は、これまで長年に渡り、リーズやブレントフォード、ミランなどでセットプレーの改善に貢献。セットプレーに特化した論文、著書まで出している本格派だ。

　過去、著書を読み感銘を受けたカターニアのワルテル・ゼンガ監督（当時）から手招きを受けた際には、44ゴールのうち17ゴールをセットプレーで記録させ、セリエA残留の立役者となったこともある。ゼンガは当時を振り返り、「セリエAで初めて仕事をするときに、銀行で働き、ノンリーグでコーチをしていた人間に一緒にいてくれと頼むのは、私のような変人だけだ」とユーモアたっぷりに語っている。
 

　その後、元銀行員は地位を確立させ、イタリア代表でポストを確保するまでに。ヴィオ本人は、セットプレーの重要性を認識したマンチーニ監督から「直接コンタクトがあった」と明かしている。

「ボローニャで会って、話をして、握手をしたんだ。去年の９月から（代表チームで）働き始めたよ」

　イタリアは今大会でもスペシャリスト加入効果を発揮。グループステージでのウェールズ戦、ゴール前でFKを獲得した際には、チームメイト２人がオフサイドポジションに立ち、相手の最終ラインを混乱させたうえで、マルコ・ヴェラッティのFKにタイミング良く走り込んだマッテオ・ペッシーナが右足で合わせて見事に決勝点を生み出している。

　これらのルーティンは全て、ヴィオ氏の頭の中から発案されているもので、その数はなんと4830通りもあるとのことだ。

　イタリアは２日に準々決勝で、前回王者ポルトガルを下したベルギーと激突。“ヴィオ・マジック”は繰り出されるのか、大注目だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】“ヴィオ・マジック”発動！“囮”２人が機能し決勝点を奪う（40秒～）