底が見えないユーティリティ性だ…リカルドレッズの“エンジン”明本考浩の可能性

カテゴリ:Jリーグ

多田哲平(サッカーダイジェスト)

2021年06月28日

SBも板についてきた様子

今季加入した浦和でもユーティリティ性を発揮する明本。20節の福岡戦では豪快なヘディング弾を突き刺した。(C)SOCCER DIGEST

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 一瞬の抜け出しで相手ゴールを襲い、豊富な運動量でプレスバックを繰り返す。さらに本来はアタッカーのはずなのにSBを難なくこなしてしまう。ここまでなんでも出来てしまうとは、正直驚きだった。

 今季浦和レッズに加入した23歳の明本考浩は、底が見えないプレーヤーである。

 栃木で台頭した頃からそのユーティリティ性には定評があったのは間違いない。右サイドハーフだけでなく、CF、ボランチも担っていたからだ。プロ1年目の昨季は40試合・7得点を記録した。

 浦和でも開幕当初には左サイドハーフや2トップの一角に入り、時には1トップで出場する試合もあった。

 浦和での初ゴールは7節の鹿島アントラーズ戦。左サイドハーフで先発すると、相手DFの背後を巧みに突き、ネットを揺らしてみせた。さらにこの試合では鋭い飛び出しでDFのファウルを誘い、決勝点につながるPKを獲得している。

 5月に入ってから増えた左SBでの起用も、板についてきた様子だ。明本自身も「手応えとしては良い感じ」とポジティブな印象を語っている。

 その無尽蔵のスタミナと献身的なアップダウン、機を見た攻撃参加は、今では浦和のポゼッションサッカーの重要な要素になっている。リカルドレッズの“エンジン”と言ってもいいだろう。
 
 20節のアビスパ福岡戦では、走行距離10㌔以上を走り、精力的に攻守に働いた。ジョルディ・クルークスとエミル・サロモンソンという助っ人ふたりのラインに冷静に対応し、決定的な仕事をさせなかった点で、勝利に不可欠だったと言える。

 明本は振り返る。

「SBだと守備にどちらかと言うと重心を置いているので、やられないことを意識しています。今日対峙したクルークス選手は非常に良い選手で、前回対戦ではやられていたので、今日は絶対にやられないと、そこしか意識していなかったです。そのなかで結果も出て本当に良かったと思います。

(右サイドは)福岡さんのストロングポイントだったので、試合前からクロスをあげさせないように近い距離に行くというのは常に意識していますし、トモ(大久保智明)とも良い連係が取れていましたし、クロスの回数があまりなかったかなと思っている。抑えられて良かったなと思います」

 本人がそう言うように、守備面だけでも十分に評価に値するのだが、さらに極めつけは76分だった。汰木康也が蹴ったCKに頭で合わせてゴールまで奪ってしまったのだ。

「中の入り方は決まっていましたし、僕は練習からニアにいっていたので、上手くボールが来て合わせられて良かったと思います」と本人は簡単に回顧する。しかし、大柄なジョン・マリの一歩前に飛び出ての絶妙なジャンプ、そして身体を捻りながら逸らしたヘディングシュートには技術の高さがうかがえた。

 どんなポジションでも自分の役割を忠実に実行できるのは、とにかく真摯にサッカーに取り組むからだ。試合前にはピッチのタッチライン際でCBの槙野智章とパス交換をしながら、丁寧に立ち位置を確認していた姿が印象的だった。おそらくはビルドアップの局面を想定しながら取り組んでいたのだろう。

 そんな真面目な性格の明本だからこそ、まだまだ秘めたる可能性を感じさせるのだ。試合の度に広がりを見せるそのプレーの幅に今後も注目したい。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 
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