なぜ大阪ダービーを延期せず無観客で実施したのか。原副理事長が語る「コロナ禍での日程調整の難しさ」

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2021年05月17日

とにかくカレンダーに試合をはめていく

スケジュール調整の難しさに語ってくれた原副理事長。写真:Jリーグ

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 コロナ禍という未曽有の状況下で、より困難を極めるようになった作業のひとつがJリーグの日程調整である。クラスター発生などで一旦は中止になった試合の代替え日を決める難しさにも直面するなかで、Jリーグはどうスケジュールを再編成していったのか。原副理事長に苦悩と決断のプロセスを訊いた。

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 日程調整は大へんな作業です。基本的にはまず、天皇杯後、ACLの出場組が確定したあと“日程くん”(Jリーグマッチスケジューラーと呼ばれるソフト)を使ってベースを作ります。そこから微調整という流れになりますが、時間はかかりますね。1月下旬にはJ1からJ3までの全スケジュールを発表するので、作成スタッフはJFAハウスに何日も寝泊まりしてやる感じです。

 コロナ禍になってからは、再調整の手間も増えてより大へんです。台風、雷雨などで延期の場合は「翌日に設定しよう」という話で済みますが、コロナ禍ではそうは行きません。緊急事態宣言でリーグ中断を余儀なくされた昨年は、いつ正式に解除されるか予測もできないから先の話ができない。結局、ルヴァンカップの大会方式を泣く泣く変更するなど応急的な処置で対応しました。

 当時はまだ日程調整についての原理原則を細部までクラブ側とも擦り合わせていませんでした。もちろん原理原則の大枠はできていましたが、なにしろコロナ禍ですから想定外の出来事が次々と起こるわけです。記憶に新しいところでは、ガンバ大阪のクラスター認定。本来なら、これで中止になった6試合の代替日を、当初の開催日から原則1か月以内に設定し、1週間以内に発表しないといけません。でも、そのクラスター発生の数日後にACLのスケジュールが延期された影響で代替日の設定に想定以上の時間がかかってしまいました。

 この件で複数のクラブに迷惑をかけたこともあって、ガンバ大阪の延期分などを発表する前にJリーグの実行委員会で日程調整に関する原理原則を改めて固めました。例えば、延期になった場合は「原則的に1か月以内にセット。1か月以内に候補日がない場合、合理的理由がない限りは1か月以降の最短日に設定」と言うように、例外的措置も設けるようにしました。
 
 そのうえで再確認したのが、クラブの事情はさて置き、とにかくカレンダーに試合をはめていくことです。現在はJ2、J3も含め57クラブあるので、彼らの要望をすべて呑んだら試合開催に辿り着けません。「5月2日の大阪ダービーをなぜ無観客にしてまで実施するのか、日程をずらせばいいじゃないか」とか、そういう声も十分に理解できます。ただ、それを聞き入れたら、「じゃあ、FC東京対横浜戦(5月1日)もずらしてくださいよ」となり、収拾がつかなくなる。だから、基本的には原理原則に則って決めたスケジュールに従ってもらう。そうしないと、全試合を消化できなくなりますから。

 ここでいう原理原則とは、例えば代替開催日設定の優先順位が(1)週末(2)平日(3)東京五輪開催中(4)国際Aマッチ期間中、また開催場所のそれが(1)ホームスタジアム(2)ホームタウン内のスタジアム(3)ホームタウン外のスタジアム(4)Jリーグ基準を満たさないスタジアムもしくは練習場となっている規則を指します。他にも細かいルールを定めていますが、とにかく試合をこなす。これが、コロナ禍でJリーグに課せられた使命です。スタジアムの確保などはクラブの管轄になりますので、それらの作業にできるだけ支障をきたさないよう、迅速に日程を調整する義務があります。

 できれば不戦勝・不戦敗扱いになる「みなし開催」は避けたい。「最低13人の選手エントリーで試合開催」というルールを設け、オンサイト検査(試合前に陽性者または感染疑いのある選手が出た場合、キックオフ3時間前に抗原定性検査を実施)を導入したのも、そのためです。
 
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