4キロ減量と荒れた私生活の改善で復活!! バルサ躍進の鍵を握るピケ【バルサ記者】

カテゴリ:メガクラブ

ルイス・フェルナンド・ロホ

2015年04月16日

ピケに態度を改めるよう、バルトメウ会長自ら厳しく忠告した。

CL準々決勝でも敵地での先勝に貢献。パリSGがチアゴ・シウバの交代(前半15分で負傷)で崩れたのと対照的に、バルサはピケを中心に堅守を維持して1失点に止めた。 (C) Getty Images

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 現在のバルセロナにおいて、最も重要な選手は誰だろう? 攻撃の核であるリオネル・メッシだろうか。9番として得点を決めるルイス・スアレス? それともネイマールか。私には別の答えがある。それはジェラール・ピケだ。
 
 彼の劇的な復活が、このバルサの“秘密”なのである。
 
「最近、高いパフォーマンスを見せることができていない。来シーズンは状態を上げていかないと」
 
 これは、昨夏のピケの言葉だ。彼は、昨シーズンの自身のパフォーマンスに満足していなかった。調子が悪いままシーズンを終え、そのままワールドカップに参加。そこでも低調な出来に終始し、先発を外れてベンチを温めることもあった。代表でも長く起きなかったことである。
 
 ワールドカップが終わった後も、状態が急上昇することはなかった。
 
 監督のルイス・エンリケは、誰も特別扱いすることはない。それは、彼のフィロソフィーでもある。だから、コンディションの整っていないピケも、名前だけで起用することはなかった。
 
 シーズン序盤、指揮官は何度もピケをベンチに座らせている。アスレティック・ビルバオ戦、パリでのチャンピオンズリーグ、パリ・サンジェルマン戦など、重要な試合でもだ。
 
 出場した試合でも、ピケのプレーにはミスが目立った。サンチャゴ・ベルナベウでのクラシコでも、ピケは2度もミスをし、チームの今シーズン初の敗戦の戦犯となってしまった。
 
 スランプに追い討ちをかけたのが、プライベートでの騒動だ。カジノで遊ぶ姿(彼の趣味はポーカーだ)がパパラッチに撮られ、路上で警察と揉めた事件も表沙汰になった。ちなみにこの件で、1万500ユーロの罰金を科せられている。
 
 パフォーマンスは上がらず、私生活も問題が多いピケ。バルサから放出されるのではないか――。そんな噂も上がり、実際に移籍先として複数のビッグクラブの名が挙がったほどだった。
 
 そんな事態にストップをかけようとしたのが、会長のジョゼップ・マリア・バルトメウだ。彼は当時のSDだったアンドニ・スビサレタ、そしてルイス・エンリケ監督と会合を持った。
 
 結論は、ピケをベンチには置けないというものだった。先発でプレーするか、売却するか。その中間はないということだ。
 
 そしてある日、バルトメウ会長はピケを呼び出し、態度を改めるように厳しく忠告した。ピケのパフォーマンスが上がり始めたのは、その頃からだ。ルイス・エンリケ監督は、練習時やピッチ外での態度を改めようと努力を見せたピケを徐々に信頼するようになり、それに連れてピケのプレーレベルも向上していった。
 
 パフォーマンス面で鍵となったのは減量である。年明け以降、彼は4キロの減量に成功した。身体が軽くなったことで、弱点とされた1対1のスピード不足が改善されたのだ。
 
 バルサはポゼッションを重視するスタイルのため、カウンターを浴びる傾向にあるが、ピケはその際にも余裕をもって対応できるようになった。以前は、スピードで簡単に振り切られていた。
 
 調子を取り戻したピケは、今ではチアゴ・シウバ、セルヒオ・ラモスといった世界最高クラスのCBに、再び肩を並べる存在になったといっていい。
 
 現在のバルサで注目を浴びるのは、どうしてもスアレス、メッシ、ネイマールの“トリデンテ”になるが、チームの躍進の秘密はピケにあるのだ。彼の復調と、チームの浮上が同じ1月以降だったということは非常に興味深い。現在では、カルレス・プジョールの後釜として、最終ラインで指揮を執り、リーダーシップも発揮している。
 
 ピケの貢献は、守備だけに止まらない。セットプレーにおける得点力はチームの大きな武器となっており、今季はCK、FKから6点を決めている。近年のバルサの弱点とされた高さ不足を、攻守両面で解決しようとしているのだ。
 
 リーガとCLでタイトルを狙うバルサ、その鍵を握るのは、陽の目を浴び続ける前線の数十メートル後方で密かに指揮を執る、ひとりのディフェンダーである。
 
文:ルイス・フェルナンド・ロホ
翻訳:豊福晋
 
Luis Fernando ROJO|MARCA
ルイス・フェルナンド・ロホ/マルカ
スペイン最大の発行部数を誇るスポーツ紙『マルカ』でバルセロナ番を20年以上務め、現在は同紙のバルセロナ支局長。ヨハン・クライフら往年の選手とも親交が深く、ジョゼ・モウリーニョとはボビー・ロブソン監督の通訳時代から親密な関係を築く。
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