劇的な逆転負けで降格が迫り、落胆するかつての同僚の姿に、同じく残留を目指す者たちは寄り添わずにいられなかったのだろう。
4月17日のセリエA第31節、カリアリ対パルマの一戦は、4-3でホームのカリアリが勝利した。レオナルド・センプリチ監督率いる18位カリアリは、連敗を4で脱出。6試合ぶりの白星で25ポイントとし、17位トリノに暫定で2差とした(ただしトリノは消化が2試合少ない)。
一方のパルマは2連敗で4試合白星なし。残り7試合でカリアリに5差、やはり2試合消化が少ないトリノには7差と、残留が厳しくなった。2点を先行し、1点を返されてからも3-1としたにもかかわらず、アディショナルタイムにまさかの2失点。よもや逆転負けに、パルマ陣営はうなだれている。
そのひとりが、ヤスミン・クルティッチだ。特に、2点をリードしていた際、ゴール前で絶好機を逸していた背番号14は、試合終了の笛が鳴ると、ピッチに座り込んで涙を見せた。
そのスロベニア代表MFを慰めたのが、カリアリのキャプテンマークを巻くジョアン・ペドロだ。パレルモ時代のチームメートの涙を見て、その隣に座り、いくつかの言葉を掛けたのだ。その後、スパルでクルティッチを指導したセンプリチも、かつての教え子を慰めている。
目を光らせたクルティッチと、彼を慰めるJ・ペドロが並んで座る映像は、サッカーファンやイタリア・メディアの胸を打った。
【動画】イタリアメディアが称賛!涙に暮れるクルティッチにJ・ペドロが寄り添う感動シーン
カリアリ指揮官も「素晴らしい行動だ」と賛辞
『Gazzetta dello Sport』紙は、「相手をリスペクトし、状況を理解。真のキャプテン、真のスポーツマンにふさわしい」と報道。衛星放送『Sky Sport』も「スポーツ的に悲劇的な試合の後に最も美しい光景」と報じている。
また、『Sport Mediaset』は「われわれのサッカーの歴史で最も美しいシーンのひとつであるのは疑いない」と称賛。試合後の『DAZN』でのセンプリチのコメントを伝えている。
「この選手たちの価値を示す抱擁だ。スポーツ的に正しい行動だね。われわれが彼らの立場にもなり得た。残念ながら、これがサッカーだ。だが、試合が終わればすべて終わり。あとに残るのは、素晴らしい行動だ」
J・ペドロやセンプリチが寄り添ったことで、少しでもクルティッチが癒されるのを願うばかりだ。
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部