「14-0」で勝てる日本は世界から取り残される危険性も。ポルトガルがアゼルバイジャンに苦戦する欧州予選と比べると…【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2021年04月05日

あまりにイージーなゲームだった

歴史的な大量得点でモンゴルに圧勝した日本。アジアでは圧倒的な存在だが、世界を意識した強化をしなければ…。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 世界のサッカーは、着実に前へ進んでいる。今年3月、各地で行われたカタールワールドカップ欧州予選は、その証左だった。

 かつての世界王者であるスペインは、当時のメンバーはほとんどいなくなっている。しかし、ロドリ(マンチェスター・シティ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、チアゴ・アルカンタラ(リバプール)、アルバロ・モラタ(ユベントス)などヨーロッパのトップクラブの主力を多く擁する。さらに、ペドリ(バルサ)のような十代の破格の新星も出てきた。

「ティキタカ」

 ボールを回すリズムはかつてそう形容されたが、本質は変わっていない。ボールを握る力は世界屈指。それだけの選手を、かつてFCバルセロナで数々のタイトルを獲得したルイス・エンリケ監督が率いる。

 ギリシャ戦も、スペインは圧倒的に攻め続けた。ボールプレーの伝統を継承し、革新していることを高らかに示している。ところが、守りを固めたギリシャに苦しみ、1-1で引き分けてしまったのだ。

 そこに、世界の厳しさがある。

 ギリシャは、泥臭いサッカーを信条とする。決してスペクタクルな戦いはしない。しかし、守りに入った時の鉄壁化はお家芸と言えるだろう。EURO2004では退屈極まりないサッカーで、頂点に立った。ゴール前に押し込んだ時、堅守から転じ、身体を張って1点を奪えるのだ。

 もう一つのカテナチオというのか、自陣にこもって、錠前をかける。攻められても、耐え抜くだけのメンタリティとフィジカルを持っている。まさに、城砦戦のスペシャリストだ。

 ブラジル・ワールドカップ、日本はグループリーグでギリシャと対戦したが、勝利が必要な試合で、退場者が出た相手を攻めきれることができなかった。

 欧州では、他にも厳しい戦いが繰り広げられている。

【動画】日本が14ゴールの歴史的ゴールラッシュ!モンゴル戦のハイライトはこちら
 
 クリスチアーノ・ロナウド、ジョアン・フェリックス、ブルーノ・フェルナンデス、ベルナルド・シウバなど有力選手を多く擁するポルトガルも、アゼルバイジャンを相手に1-0で勝利するのが精いっぱいだった。しつこい守りに四苦八苦。唯一の得点はオウンゴールだった。

 アゼルバイジャンは有名な選手など一人もいない。しかしチームとして守るだけの強さがあった。決して大きく引けは取っていない。

 日本はアジアを舞台に戦っている。3-0で完勝した韓国戦や14-0と破天荒な勝利になったモンゴル戦を見ても、結果は喜ばしいが、あまりにイージーなゲームだった。技術、戦術的に、世界標準ではかなり落ちる相手だろう。

 極東にある日本サッカーは常に、世界を意識した強化が必要になる。現状に甘んじられない。さもなければ、進化する世界のサッカーから取り残されることになるだろう。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

【PHOTO】モンゴル0-14日本|前後半で14ゴールとモンゴルを圧倒!24年ぶりとなる2桁勝利に!
 

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