状況は似ているが、マンチーニとペレグリーニには決定的な違いが。
44年ぶりのリーグ優勝を果たし、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2012-13シーズン、マンチェスター・シティは脆くも敗れ去った。
優勝メンバーがほぼそっくりそのまま残ったものの、攻守が噛み合わずに精彩を欠き、宿敵ユナイテッドに独走を許してあっさりと王座を明け渡したのだった。
その二の舞を演じたのが今シーズンだ。主力の顔ぶれに変わりはなかったが、攻守ともピリッとせず、消化試合がひとつ少ない首位チェルシーと残り4節で勝点10差。優勝は絶望的だ。
そして12-13シーズンのロベルト・マンチーニ監督と同じ運命を、マヌエル・ペレグリーニ監督も辿るのではないかと見られている。タイトル防衛に失敗したマンチーニは解任された。
バルセロナに力の差を見せつけられ、ベスト16敗退に終わったチャンピオンズ・リーグでも期待を裏切ったペレグリーニは、それこそ批判の矢面に立たされている。
しかし、ペレグリーニとマンチーニには決定的な違いがある。
冷徹で傲慢でさえあったマンチーニは、クラブ内に軋轢を生んでいた。ロッカールームには亀裂が走り、フロント陣との関係にもヒビが入っていたのだ。非常に大きな影響力を持つ幹部とも、マンチーニは揉めていた。
そのマンチーニのもとで乱れたハーモニーを取り戻すために招聘されたのがペレグリーニだ。選手やフロント陣との関係は良好で、クラブ内はペレグリーニ擁護でまとまっている。厄介払いに近かったマンチーニとは、その点で絶対的に異なるのである。
とはいえ、ペレグリーニの立場は安泰というわけではない。そもそも、招聘の段階で、このチリ人指揮官が「次善の選択肢」だったのは周知の事実だ。
シティが熱望する意中の人は、そう、バイエルンのジョゼップ・グアルティオラ。そのために、かつてバルセロナでグアルディオラと一緒に仕事をしたフェラン・ソリアーノとチキ・ベギリスタインを、それぞれCEOとFDに迎えたと言っても過言ではないのである。
ペレグリーニの命運は、したがってグアルティオラが握っているとも言えるだろう。
そのグアルディオラが今シーズン終了後にバイエルンを去る可能性は低い。
CL準々決勝・第1レグでポルトに完敗(1-3)した直後は、メディカルチームとの確執などが囁かれ、退団説が熱を帯びたが、怒涛のゴールラッシュでポルトを第2レグで逆転し、ベスト4に勝ち上がってからはグアルディオラを取り巻く空気は一変。本人も公言するように、今夏の退任はまずないはずだ。
つまり、この点からもペレグリーニは続投が濃厚だ。ただし、来シーズンは就任時に結んだ3年契約の最終年。16年夏の政権交代、すなわちペレグリーニからグアルディオラへの指揮官交代が、ソリアーノとベギリスタインが描く理想のシナリオだ。
【記者】
Stuart BRENNAN|Manchester Evening News
スチュアート・ブレナン/マンチェスター・イブニング・ニュース
マンチェスターの地元紙『マンチェスター・イブニング・ニュース』のフットボール記者で、2009年から番記者としてシティに密着。それまではユナイテッドを担当し、両クラブの事情に精通する。
【翻訳】
松澤浩三
優勝メンバーがほぼそっくりそのまま残ったものの、攻守が噛み合わずに精彩を欠き、宿敵ユナイテッドに独走を許してあっさりと王座を明け渡したのだった。
その二の舞を演じたのが今シーズンだ。主力の顔ぶれに変わりはなかったが、攻守ともピリッとせず、消化試合がひとつ少ない首位チェルシーと残り4節で勝点10差。優勝は絶望的だ。
そして12-13シーズンのロベルト・マンチーニ監督と同じ運命を、マヌエル・ペレグリーニ監督も辿るのではないかと見られている。タイトル防衛に失敗したマンチーニは解任された。
バルセロナに力の差を見せつけられ、ベスト16敗退に終わったチャンピオンズ・リーグでも期待を裏切ったペレグリーニは、それこそ批判の矢面に立たされている。
しかし、ペレグリーニとマンチーニには決定的な違いがある。
冷徹で傲慢でさえあったマンチーニは、クラブ内に軋轢を生んでいた。ロッカールームには亀裂が走り、フロント陣との関係にもヒビが入っていたのだ。非常に大きな影響力を持つ幹部とも、マンチーニは揉めていた。
そのマンチーニのもとで乱れたハーモニーを取り戻すために招聘されたのがペレグリーニだ。選手やフロント陣との関係は良好で、クラブ内はペレグリーニ擁護でまとまっている。厄介払いに近かったマンチーニとは、その点で絶対的に異なるのである。
とはいえ、ペレグリーニの立場は安泰というわけではない。そもそも、招聘の段階で、このチリ人指揮官が「次善の選択肢」だったのは周知の事実だ。
シティが熱望する意中の人は、そう、バイエルンのジョゼップ・グアルティオラ。そのために、かつてバルセロナでグアルディオラと一緒に仕事をしたフェラン・ソリアーノとチキ・ベギリスタインを、それぞれCEOとFDに迎えたと言っても過言ではないのである。
ペレグリーニの命運は、したがってグアルティオラが握っているとも言えるだろう。
そのグアルディオラが今シーズン終了後にバイエルンを去る可能性は低い。
CL準々決勝・第1レグでポルトに完敗(1-3)した直後は、メディカルチームとの確執などが囁かれ、退団説が熱を帯びたが、怒涛のゴールラッシュでポルトを第2レグで逆転し、ベスト4に勝ち上がってからはグアルディオラを取り巻く空気は一変。本人も公言するように、今夏の退任はまずないはずだ。
つまり、この点からもペレグリーニは続投が濃厚だ。ただし、来シーズンは就任時に結んだ3年契約の最終年。16年夏の政権交代、すなわちペレグリーニからグアルディオラへの指揮官交代が、ソリアーノとベギリスタインが描く理想のシナリオだ。
【記者】
Stuart BRENNAN|Manchester Evening News
スチュアート・ブレナン/マンチェスター・イブニング・ニュース
マンチェスターの地元紙『マンチェスター・イブニング・ニュース』のフットボール記者で、2009年から番記者としてシティに密着。それまではユナイテッドを担当し、両クラブの事情に精通する。
【翻訳】
松澤浩三