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【川崎】脇坂→田中→L・ダミアン。“キャプテンマークリレー”から見えたチームの充実ぶり

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2021年03月14日

柏戦では勝負強さを発揮

脇坂(写真左)や田中らが成長している川崎。責任感を強めた選手が増えている。(C)SOCCER DIGEST

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[J1第4節]川崎1-0柏/3月13日/等々力
 
 川崎にとっては今季、最も苦しんだ試合だったと言えるだろう。

 3月13日にホームで迎えた第4節の柏戦。雷雨の影響でキックオフが30分遅れ、ピッチには水分を含んだエリアがあるなか、「前半、後半を通して苦しい試合でした」と鬼木達監督も率直な想いを語っている。

「常にコンパクトにサッカーをしようとはしていますが、向こうの奪ってからの一発で背後のボールを何度か受けているうちに、そこで少し下がってしまったかなと。あとは攻撃のところで自分たちからバランスを崩してしまった。そこで、セカンドボールを拾えなかったです。狙うべきものを狙えず、展開的には苦しい形になったかなと思います」

 指揮官の言葉通り、前半はピッチの状態もあったのか、川崎のパステンポはなかなか上がらず、ビルドアップも安定しなかった。さらにソリッドで献身的な柏の守備にボールを奪われ、背後を狙われる悪循環。「よい守備からカウンターでゴールに迫れた」(ネルシーニョ監督)と、柏の戦い方もよく組織化されたものだった。

 もっとも最終的なゲームスコアは1-0。川崎の勝利であり、王者はこれで無傷の開幕5連勝である。決勝点はこの日は温存し、後半頭から投入した三笘薫が導き出した。幾度となく左サイドを突破していた男は、緩急のつけたドリブルで対峙したDFを振り切って左サイドをえぐり、マイナスのクロス。これを家長昭博が冷静にフィニッシュ。改めて三笘という“強力な武器”を持つ川崎のメリットが出た形だ。

 ただし、その利点を生かせたのも、苦しい時間帯で崩れずにチャンスを待ち、接戦をものにできる強さを今のチームが備えているからだろう。
 
 開幕前、鬼木監督はこんなことを話してくれていた。

「いろんな選手を育てたいという考えがあるなと。責任感が強い選手が増えるほどチームのパワーは高まるので」

 昨季、キャプテンマークを小林悠から谷口彰悟へ受け継がせた指揮官は、新シーズンには副キャプテンを前年の大島僚太、守田英正(ポルトガルへ移籍)から、脇坂泰斗、レアンドロ・ダミアン、登里享平(負傷で離脱中)に代えている。

 これは多くの選手にリーダーとしての責任感を持ってもらいたいとの狙いであり、小林や大島に関しては本人たちと対話し、役職がなくともしっかりやってくれるとの信頼があっての選択となっている。

 さらにキャプテンの谷口、副キャプテンの3人が先発メンバーに名を連ねなかった2節の仙台戦では、ユース出身で生え抜きの22歳、田中碧にキャプテンマークを預けている。

「責任感をもってやってもらいたいという想いもありますし、そういう期待に応えていける選手だと思っています。気持ち、発している声がどれだけ影響を与えているかも、多分、キャプテンマークを付ければ、また違ったものが見えてくると思います」

 指揮官は田中にキャプテンマークを託した理由をこう語る。そして谷口が“休み”となった件の柏戦では、こちらもユース出身で大学を経て、所属4年目となった副キャプテンの脇坂がキャプテンマークを巻いて先発。

 脇坂はハーフタイムでの交代となったが、後半からは代わりに田中が腕章を巻き、律儀な田中は、後半途中に出場したL・ダミアンへセットプレーの隙間の時間を使ってしっかり腕章を手渡している。

 キャプテンマークを誰が巻くのかは大きな問題ではないのかもしれない。ただ、重要なのはチームを牽引しようとの強い想いを持った選手が多く現われていることだ。個々が強い責任感を持つからこそ、一つひとつのプレーに妥協がない。だからこそ、苦しい展開になったとしても耐えられる。今の川崎の強さはそんなところにもあるように感じるのだ。

 柏戦ではいつものようなプレーを見せられなかった脇坂も今季は誰よりも声を出し、“周囲をコントロールする術”を発揮。チームを牽引している。田中は誰よりもピッチを走り回り、周囲とコミュニケーションを交わし、決定機的な仕事を連発。L・ダミアンも献身的な姿勢で他の選手の模範になり、そしてブラジル人選手たちのまとめ役ともなっている。

「指示の声、鼓舞する声は就任したときから求めていました。ただそこはトレーニングにしても、僕が言ってもやるかやらないかは選手次第。今は自分がチームを勝たせるんだと思っている選手が増えているんじゃないかなと思います」

 指揮官の意図はチームに波及しており、高いレベルで求め合う集団になっている。“簡単には負けない”チームは精神的にも逞しさを増す――川崎の進化は今季も続いていると言えるだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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