• トップ
  • ニュース一覧
  • 日本はなぜ南米勢を苦手とするのか? 用意した“拍子”だけで勝てるほど世界は甘くない【小宮良之の日本サッカー兵法書】

日本はなぜ南米勢を苦手とするのか? 用意した“拍子”だけで勝てるほど世界は甘くない【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2021年01月12日

強いチームには何とも言えぬテンポがある

森保ジャパンは19年11月、南米では強豪国とは言えないベネズエラにホームで1-4の大敗を喫している。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 サッカーにおける勝負の要諦は、相手の裏をかけるかどうか、にある。

 例えば、相手が一気に力を投入し、素早く機動力を使い、自らの体力を消費させるのを覚悟で挑んできたとき、それに慌てない。しっかり陣形を作りながら、その波が収まるまで耐えきる。激しく火のように動く相手には、どっしりと構えて山のように動かない。

 簡単ではないが、それをできるように鍛錬するのが、指導者の役割である。自分たちに都合の良いテンポを知り、相手が嫌なテンポを見抜き、テンポを変える。強いチームには、何とも言えぬテンポがあるものだ。

「どんな物事にも拍子(テンポ)はあるものだが、兵法においてもその鍛錬が欠かせない」

 宮本武蔵が著した「五輪の書」では、そう戦いの極意が書かれている。

「兵法の拍子にはいろいろある。まず、合う拍子を知り、次に合わない拍子を知りわきまえ、大小・遅速の拍子の中でも、合った拍子、間の拍子、逆の拍子を知るのが、兵法の第一とすべきことである。特に、相手の拍子に逆らうことを知らないでは、確かな兵法とならない。戦闘においては、敵の拍子を知り、敵の思いもかけぬ拍子をもって、空の拍子を知恵の拍子より発して勝ち得るのである」
 
 優れた指揮官は、試合の中で何度かある拍子を、テンポを、波を自分たちのものにできる。そのための鍛錬をトレーニングでしている。90分で勝利はモノにするべきもので、自軍がうまくいかないとき、つまりテンポを作れないとき、潮目が変わるのを待つだけの集団にできているか。人の位置を変えるだけでテンポを取り戻すことができるか、その準備をしているものだ。

 試合は生き物のように形を変えるだけに、それに対処できるチームであることが求められる。

 戦う前にプランを組むし、選手も対策を取るだろう。しかし、相手も対策を取ってくる。そこに、駆け引きが生まれる。
 
【関連記事】
「クボがヘタフェに革命を起こす」2点を演出した久保建英の圧巻デビューを現地メディアが絶賛!「素晴らしいプレーだ」
「信じられない経験をした」F・トーレスが日本時代を回想!「だから1年しか滞在しなかった…」
「44歳の私より遅かった」ボタフォゴ退団の本田圭佑を元ブラジル代表MFがバッサリ! 同僚やOBなどからも厳しい声「俺たちをだました」【現地発】
イニエスタがアジアサッカーのレベルに言及「ひとつはっきりしていることは…」
ドイツとはまるで違う日本人選手の“スペイン挑戦”。「なぜ言葉がわからない人間にパスを出す必要がある」【小宮良之の日本サッカー兵法書】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ