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【フットボール最前線】インテンシティの上昇がもたらした変化――トレーニングメソッドからチームマネジメントまで

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2015年04月07日

あらゆる角度から故障の予防への取り組みが進められている。

プレーリズムの上昇、時間とスペースの減少というトレンドを象徴するような試合が、このアトレティコ対レバークーゼンの一戦だった。 (C) Getty Images

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 現代サッカーの「最新トレンド」に迫る連載の第2回は、インテンシティの上昇がもたらした変化について考察する。
 
――◆――◆――
 
 現代サッカーにおける最も顕著な変化は、プレーのインテンシティが以前とは比較にならないほど高まったことだろう。
 
 ピッチ上で展開されるプレーのリズムとスピードは年々上昇し、反対にひとつのプレーに与えられた時間とスペースは縮小し続けている。足下にパスを受けてから顔を上げ、次のプレーを悠長に考えている時間など、いまや最終ラインでプレーするセンターバックにすら与えられていない。
 
 それが象徴的に表われていたのが、チャンピオンズ・リーグ(CL)のアトレティコ・マドリー対レバークーゼン戦(ラウンド・オブ16)。どちらもアグレッシブなプレスとスピードに乗ったカウンターアタックを武器に、ハイペースの試合展開で相手を圧倒しようとするチームだ。
 
 中盤のハンカチほどのスペースに20人のフィールドプレーヤーが固まってプレスをかけ合ったかと思えば、一度オープンスペースにボールを持ち出すとワンタッチ、ツータッチで素早くパスをつないでトップスピードで30~40メートルを攻め上がり、攻守が入れ替わると今度は反対側のチームがハイスピードでカウンターを仕掛けるという繰り返し。その結果としてお互いがお互いを「消し合う」展開になったのは、ある意味で必然だったと言えるだろう。
 
 この対戦は極端な例かもしれないが、プレーリズムの上昇、時間とスペースの減少というトレンドは、CLやヨーロッパリーグ、そしてヨーロッパのトップリーグに共通する傾向だ。
 
 しかし、こうしたインテンシティの上昇と引き換えに、現代サッカーが支払っている「コスト」と言えるのが故障の増加である。
 
 CLでベスト8に勝ち上がったチームを見ても、中心選手をひとりも欠くことなくこのシーズンの山場を迎えているところは皆無と言っていい。
 
 プレーのインテンシティが上がればフィジカルコンタクトの頻度と強度も高まるから、打撲系の怪我は増えるし、膝や足首など関節に過大な負荷や不自然な力がかかって半月板や靭帯を損傷するリスクも高まる。さらに、強度の高い運動を繰り返すことによって筋肉にかかる負荷も大きくなるため、肉離れをはじめとする筋肉系の故障も増加することになる。
 
 このうち、打撲系、関節系といった「物理的な故障」は避けることができないが、筋肉系の故障に関しては、毎日のトレーニングにおいて筋肉にかかる負荷をコントロールすることによって、ある程度まで予防することが可能だ。
 
 それゆえ、プロのトップレベルの現場においては、トレーニングメソッドの探求、負荷のモニタリングとコントロール、選手起用法の模索など、あらゆる角度から「故障の予防」への取り組みが進められている。
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