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【コラム】これも名古屋、これも瑞穂…聖地とのしばしの別れは最高とは言えなかったが――

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2020年12月14日

Jリーグのお荷物と呼ばれた時代を経て、黄金期を迎え、そして模索の日々に舞い戻った名古屋

Jリーグ開幕以来、28年間にわたって名古屋のホームスタジアムとして稼働してきたパロマ瑞穂スタジアム。横浜FC戦をもって6年間の改修工事に入る。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ32節]名古屋0-0横浜FC/12月12日(土)/パロ瑞穂

 悪夢のようであり、でも「瑞穂って苦い思い出も多いよな」と思い直させてくれるようでもあった。冬を目前にしても青々とした芝のコンディションと、差し込む西日の色はJ2降格が決まったあの日にも似ていた。Jリーグのお荷物と呼ばれた時代を経て、黄金期を迎え、そして模索の日々に舞い戻った名古屋のホームとして、パロマ瑞穂スタジアムはクラブの良いところも悪いところもすべてを受け止めてきた。0-0のスコアは悪くはないが、今の名古屋というチームにとっては残念な結果で、判定でのゴタゴタと一発レッドのやるせなさが厳しい後味を“ファミリー”たちに残す。これもサッカー、これも名古屋、これも瑞穂が見てきたものだと納得するのは、当事者たちには難しいかもしれない――。

 試合は互いに想定していた展開の中で、決め手を欠いて均衡していった。横浜FCは巧みなポジショニングを利したポゼッションとスピードアップ、速攻を武器に名古屋の守備に的を絞らせず、名古屋もまたそれは理解した上での攻防を望んだ。この日が100試合目の出場だったランゲラックは「こうなるのではとも思っていた」と平然としていたが、吉田豊にしてみれば「うまくはまるところがなかなかなく、取りどころという部分では少し苦戦した」という感想になる。ボールを持たせるべく引いて守ることを嫌がらなかった名古屋だが、自陣深くからビルドアップを始める相手にはやはり食いつき、敵陣で守備網を敷いたところを突破されて決定機も作られた。あくまで奪いに行くのが自分たちの守備だとはフィッカデンティ監督の言葉で、もちろん引っかければビッグチャンスがそこにはある。行って当然、そこから速い帰陣でがっちり守るシフトチェンジもできていただけに、それもまた分かっていた中での試合展開ではあったのだろう。

 しかし引いて構える場面も戦い方に織り込んだことで、先の吉田豊の言うような場面ができると攻撃陣には影響が及んだ。ボランチも含めてチームが後ろに重たくなり、前線が遠ざかって攻撃の厚みが出ない。「名古屋の選手は一人でボールを運べてしまうので、全員が脅威だった」とは横浜FCのGK六反勇治の感想だが、「それだけにDF陣は集中できてもいた」とプラスアルファの力も引き出せており、そこに普段の重さがない名古屋の攻撃は迫力不足でもあった。

 後半には前田直輝が入り、63分には相馬勇紀の決定的なシュートもあったが、こういったチャンスを決めきれなかったことで名古屋は勝機を逸した。79分のシミッチのヘディングが田代真一の腕に当たって一旦はPKの判定になったところ、副審の助言によって判定が取り消しになり、千載一遇の得点機会が幻と消えた。フィッカデンティ監督は試合後も怒りが収まらない様子だったが、その気持ちは否定しないが、勝てなかった原因はそこではない。「自分たちでどうにかできるゲームではあった」と吉田豊は言ったが、つまりはそういうことだ。

 瑞穂には女神も魔物も潜んでいる。チャンスを外して女神にそっぽを向かれれば、たちまち魔物が口を開けるのである。

【動画】先制のチャンス…と思いきや、PKが取り消し。名古屋vs横浜FC戦ハイライト
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