メキシコ戦で突きつけられた現実。そもそも日本代表は強くない

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2020年11月18日

オール欧州組がなんなのか

後半はメキシコに支配された日本。酒井の健闘も及ばず……。写真:龍フェルケル

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 鎌田大地のドリブル突破からのチャンスメイク、原口元気の際どいミドルシュートなど、前半途中までは見せ場がいくつかあった。それでも終わってみれば、メキシコに0-2の完敗。吉田麻也が試合後にコメントしたとおり、両チーム間には確かな実力差があった。シュートの精度、ボールへの寄せスピード、球際のプレー強度、試合運びの上手さ……。いずれをとっても完敗だった。

 そもそも、日本代表は強くない。国内開催の親善試合、アジアが舞台の国際大会ではほぼ主導権を握れるものの、それ以外のゲームでは押し込まれるケースがほとんどだ。ワールドカップを見てもそうだろう。日本が90分通して優勢に進めた試合は、02年の日韓大会を除けば10年ワールドカップのデンマーク戦くらいか。

 ワールドカップでの日本はどちらかと言えば弱小国の部類に入る。その前提で考えれば、10月、11月に対戦したカメルーン、コートジボワール、パナマ、メキシコはいずれも楽な相手ではない。とするなら、ワールドカップの試合と同じように、守備の時間が長くなり、チャンスの回数は限られるのは当然との見方もできる。

 10月と11月の欧州遠征で攻撃が物足りないのもいわば必然。これらのチームと互角に戦うだけの実力が日本にはまだないのだから。どうにか凌いで、セットプレーやPKで奪ったゴールを守り抜く。日本が格上に勝つにはこういう戦い方がなにより現実的、それを痛感させられたのが今回の欧州遠征とも言えるだろう。
 
 直近のメキシコ戦、日本は前半に限れば奮闘した。しかし、試合はあくまで90分間。その半分だけ互角に戦えてもあまり意味はない。ほとんど何もできなかった後半の戦いぶりが、日本の真の姿ではないか。苦しい局面でこそ真価が問われるわけで、その点でメキシコ戦の日本は明らかに地力が足りなかった。

 オール欧州組の日本代表。確かに20年前では考えられなかったことだ。選手個々が努力した結果がそうした発展に結びついた点は素直に評価できる。だからといって、オール欧州組がなんなのか。日本のサッカーは進歩している。ただ、強豪国や中堅国だって同じように進歩しているのだ。内田篤人が引退会見で述べたように、むしろ世界との差は「広がっている」可能性だってある。オール欧州組で臨んでも、メキシコには勝てない。それが突きつけられた現実である。

 日本の現在地を見極めるうえで、アジアを飛び出しての親善試合は有意義なものになる。国内での親善試合も悪くはないが、10月、11月のようなシチュエーションでのゲームこそ日本の粗がはっきりと分かるわけで、今後の強化につながるはずだ。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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