フランスの至宝を襲ったまさかの悲劇
7月24日に行なわれた伝統のフランス・カップ決勝で、約3か月半ぶりにフットボールが再開したフランス。パリ・サンジェルマンがサンテティエンヌを1-0で破り、戴冠を果たした。
だが、茶の間の喜びはあっという間に不安にとって変わり、翌25日の朝刊各紙には痛々しいキリアン・エムバペの写真がずらりと並び、この至宝をめぐる「サスペンス劇場」が開幕してしまった。
公式戦の再スタートが奇妙な光景になることは、誰もが予想していた。会場に入れるのは主催者やクラブ関係者、ジャーナリストらを含めて5000人まで。結果、観客数は計2805人で、8万人収容のスタッド・ド・フランスには静けさが漂い、マスクばかりが目についた。
恒例の大統領の激励も、握手なしのアジア風挨拶。優勝セレブレーションも、プレジデントスタンドではなくピッチ上の仮設表彰台でおこなわれ、大統領の手どころか選手が自分の手でメダルを首にかけるという異様さだった。
だが、それらはある程度予想できてもいた。一旦鎮まったかにみえた新型コロナウィルスが再び不気味な上昇傾向を見せているだけに、人々も覚悟してテレビの前に座り、人生にフットボールが戻った喜びのみを噛みしめようとしていたのだ。
だが、茶の間の喜びはあっという間に不安にとって変わり、翌25日の朝刊各紙には痛々しいキリアン・エムバペの写真がずらりと並び、この至宝をめぐる「サスペンス劇場」が開幕してしまった。
公式戦の再スタートが奇妙な光景になることは、誰もが予想していた。会場に入れるのは主催者やクラブ関係者、ジャーナリストらを含めて5000人まで。結果、観客数は計2805人で、8万人収容のスタッド・ド・フランスには静けさが漂い、マスクばかりが目についた。
恒例の大統領の激励も、握手なしのアジア風挨拶。優勝セレブレーションも、プレジデントスタンドではなくピッチ上の仮設表彰台でおこなわれ、大統領の手どころか選手が自分の手でメダルを首にかけるという異様さだった。
だが、それらはある程度予想できてもいた。一旦鎮まったかにみえた新型コロナウィルスが再び不気味な上昇傾向を見せているだけに、人々も覚悟してテレビの前に座り、人生にフットボールが戻った喜びのみを噛みしめようとしていたのだ。
しかし、誰も予期していなかった事態が起きた。まさかのエムバペのケガだった。試合後、右足首を厳重に固定され、2本の松葉杖をついて現れた"怪物"は、不自由そうに表彰台に上がると、心配するエマニュエル・マクロン大統領にこんな言葉を漏らしたという。
「踝(くるぶし)が弾けたみたいな感じだったんだ」――。
これでフランスはサスペンスに突入した。「エムバペ・サスペンス連続ドラマの開幕予告」(『L’EQUIPE』紙)である。
今週金曜日に行なわれるリーグカップ決勝、リヨン戦の出場は、もはや絶望的。問題はチャンピオンズ・リーグ(CL)の「ファイナル8」だ。その初戦となるアタランタ戦は8月12日に設定されている。今年はコロナ禍による特別フォーマットのため、一発勝負。負ければそこで敗退となる。
これにエムバペが出られるのかどうか。出られない場合、パリSGは勝利できるのか――。フランス中のフットボールファンはいま、この点に注視している。