過去のメジャートーナメントにおいて列強国の代表チームでは一体誰が栄光の10番を背負ってきたのか。歴代の担い手たちはどんな結果を残してきたのか。10番の価値や意味合いなど各国の事情に触れながら、紹介する。
ここで紹介するのは、数多くのファンタジスタを輩出してきたイタリア代表だ。
―――◆―――◆―――
アッズーリのヌメロ・ディエチ(イタリア語で「10番」の意)は、いわば「ファンタジスタの歴史」だ。
古くは魔法の左足を持った奇才オマール・シボリをはじめ、69年にバロンドールを受賞した司令塔ジャンニ・リベーラ、94年W杯でほぼ独力でチームを決勝に導いたロベルト・バッジョ、そして06年W杯で世界制覇を成し遂げたフランチェスコ・トッティは、いずれも技巧と創造性で違いを作る偉大なファンタジスタだった。
もっとも輝きを放ったアッズーリの10番は?

バロンドールを獲得したリベーラ(左上)とバッジョ(右上)らイタリアの10番史は、まさに「ファンタジスタの歴史」だ。(C)Alberto LINGRIA,Getty Images,WORLD SOCCER DIGEST
その系譜に連なるアレッサンドロ・デル・ピエロはしかし、98年W杯ではバッジョ、EURO2000ではトッティに主役の座を奪われ、10番を担ったメジャー大会では期待外れ。スーパーサブの06年W杯では7番だった。
近年はチーム力と並行して10番もスケールダウンが否めず、10年W杯ではセリエA得点王だったアントニオ・ディ・ナターレが低調。アントニオ・カッサーノもEURO12こそマリオ・バロテッリとの悪童コンビで決勝進出に貢献したが、14年W杯ではノーインパクトに終わった。
17年に10番を継承したロレンツォ・インシーニェは、当初こそ不慣れな左サイドハーフで結果を残せずにいたが、18年5月のロベルト・マンチーニ政権発足後は最も得意な左ウイングで躍動。先のEURO予選でも4試合で3ゴール・1アシストを記録した。来夏の本選では真価が問われることになる。