強く記憶に刻まれた90分間。柏が示した脇役の重要性と…【記者回顧録】

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2020年04月23日

L・ドミンゲスが気持ちよくプレーできた背景には…

柏のJ1制覇に大きく貢献したレアンドロ・ドミンゲス。新潟戦での活躍も見事だった。写真:サッカーダイジェスト

画像を見る

 記憶に強く残っている試合がいくつかある。そのひとつが、2011年11月3日に日立柏サッカー場で行なわれた柏対新潟の一戦だ。シーソーゲームでも、タイトルが懸かったゲームでもない。柏が新潟を4-0と圧倒したワンサイドゲームは、むしろ単なる”34分の1“に数えられる試合だったと言えるだろう。

 ではなぜ、その試合のことを鮮明に覚えているのか。後に昇格即J1制覇を成し遂げた柏の強さがギュッと凝縮された90分間であり、そこに大きな衝撃を受けたからだ。

 この日のヒーローインタビューは、前半だけで2ゴールを決めたレアンドロ・ドミンゲスだった。崩しの局面で大きな違いを作り出し、圧倒的な存在感を示したのだから、”ヒーロー“に選ばれるのは当然だろう。

 
 ただ、4-4-2システムの右サイドを担ったこのブラジル人MFが気持ちよくプレーできた背景に、脇役の貢献があった事実を見逃すわけにはいかなかった。誰より素晴らしかったのが、大谷秀和とダブルボランチを組んだ茨田陽生だ。冷静なポジショニングでピンチの芽を摘みつつ、丁寧なパスワークで味方にボールを預ける技術には目を見張った。このボランチが絶妙な舵取りで中盤のバランスを保っていたからこそ、L・ドミンゲスは攻撃に専念できたという見方は決して間違いではないだろう。

 もっとも、王様的なプレーヤーを地味なタレントが支えるというのはサッカーによくある風景だが、ここで強調したいのは絶対的なレギュラーではない茨田が大事な終盤戦でこうして活躍したこと。途中出場の水野晃樹、田中順也が得点に絡んだ点も含めて証明されたのが、柏の総合力の高さだった。特定の11人に依存しなくてもサッカーのクオリティを保つ。文字通りチームとして高い完成度を示したネルシーニョ監督の手腕は大したものだと、素直に思った。

 「チーム力の高さを示した一戦」と試合後に北嶋秀朗もコメントしていたとおり、柏は王者になるに相応しい”一体感“を新潟戦で見せつけていた。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

【PHOTO】ルヴァンカップ全大会のMVP受賞者を一挙振り返り!(1992~2019)
【関連記事】
【Jリーグ出生地別選手数ランキング】Jリーガー“空白”となった県がひとつ。一方、昨季より最多の17人増えた都道府県は?
「間違えちゃったかな、来るところ」。青森山田高で受けた衝撃【室屋成のルーツ探訪/前編】
「痺れた」「正直、頭に来た」恩師が忘れられない"ふたつの思い出”【室屋成のルーツ探訪/中編】
【岩本輝雄】あの“伝説のFK”をプレーバック。「助走した時に前を見たら…」
ペナルティ・ワッキーの注目クラブ&選手【J1編】昇格1年目でもJ1を席巻しそうなのは柏。期待する選手は…

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ