アジアカップ2015

【アジアカップ】アギーレジャパン いよいよキックオフ! パレスチナ戦を展望

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2015年01月12日

「中東のC・ロナウド」は要警戒。

綺麗なサッカーを求めないほうがいいと、本田も初戦を前に気を引き締めた。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 真夏のオーストラリアで、暑さに滅法強い中東勢との3連戦。組分けに恵まれたとは言い難いグループリーグの初戦で戦うのは、対戦3か国のなかで最もベールに包まれたパレスチナだ。
 
 FIFAランクは113位で、アジアカップの本大会出場は今回が初めてだ。チームや選手に関する情報が極めて少ないパレスチナは、実力が正確に把握できない分、不気味に映る。
 
 日本は前回、前々回とも初戦は引き分けた。07年大会はカタール、11年大会はヨルダンと、いずれも格下と目された相手に勝ち切れず、スロースターターのイメージがある。今回も、独特の緊張感が漂う初戦で苦戦を強いられても不思議はない。
 
「アジアカップでは何度も苦しい試合を経験してきたし、上手くいかないと思って戦ったほうが、実際にそうなった時に対応しやすい」
 岡崎慎司はそう語り、“我慢のスタンス”の必要性を説く。
「苦しい展開になっても最終的に勝てばいい。点を取れなかった時にどう我慢するか、取られた時も動じずに追いつき、逆転できるか。そこが重要になる」
 
 本田圭佑は、「相手が引くとスペースがなくなるので、無駄なミスをなくすことが重要」と強調。この暑さですから――と続けて、「そこまで綺麗なサッカーは求めないほうがいいし、自分たちも期待しないほうがいい」と話す。
 
 とりわけ、カウンター志向の強いパレスチナは、引いた陣形でスペースを潰してきそうだ。ウズベキスタン戦(14年12月13日の練習試合)をビデオで確認した酒井高徳は、善戦しながら0-1で敗れたパレスチナの印象を次のように述べた。
 
「相手が(格上の)ウズベキスタンだったからだと思いますが、前線にひとり残して、あとは全員引いて戦っていました。守備の局面で身体を張って頑張っていたので、最後のところでなかなかボールを入れさせていなかった。中央突破にこだわり過ぎると、向こうの思う壺になってしまうかもしれません。個人的には、上手くサイドを使いながら攻めたいですね」
 
 たしかに、4-4-2を基本システムとするパレスチナにはムラド・サイードという屈強のボランチがいて、中央の守りはまずまず堅いイメージだ。そうなると、やはりサイドからの崩しが大きなポイントになる。

パレスチナ戦の予想スタメン

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 4-3-3をベースに戦う日本の予想スタメンは、GKが川島永嗣、4バックは右から酒井高、吉田麻也、森重真人、長友佑都。中盤3枚はアンカーが長谷部誠で、インサイドハーフは右に遠藤保仁、左に香川真司だ。
 
 3トップは、これまでの起用法から判断すれば、右から本田、岡崎、武藤嘉紀になりそうだが、左ウイングは流動的だ。1月4日の練習試合で先発した乾貴士、あるいは翌5日のトレーニングマッチで試された清武弘嗣になる可能性も十分にある。
 
 いずれにしても、右の本田が厳重に警戒されるはずで、左ウイングのパフォーマンスはひとつの鍵だ。
 
 突破力と泥臭い守備が特長の武藤、攻撃力に特化した乾、ポジショニングのバランス感覚に優れ、ドリブルでもパスでも局面を打開できる清武のうち誰を起用するか。勢いを買うなら、ハノーファーでの好調を代表に持ち込み、オークランド・シティとの練習試合で途中出場ながらアシストを決めた清武だろう。
 
 攻撃面では、クロスがポイントとなりそう。オーストラリア入り後の練習でも、クロスに合わせる攻撃パターンを確認しており、ハビエル・アギーレ監督はショートパスにこだわらないサッカーを模索しているように見える。終盤まで抑え込まれる展開になった場合は、ヘディングが強く、点で合わせられるCFの豊田陽平、正確な左足クロスを持つ太田宏介の投入があるはずだ。
 
 一方、守備面で気をつけたいのは、「中東のクリスチアーノ・ロナウド」と呼ばれるアシュラフ・アルファワグラの一発。シュート、ドリブルに加えてFKもハイレベルとの触れ込みで、酒井高も「あの7番は印象に残った」と警戒していた。
 
「横パスを多用しすぎないようにしたい」と森重が話すように、最終ラインの軽いプレーは失点につながる恐れがあるだけに、守備陣にも“綺麗なサッカーにこだわらない”対応が求められる。
 
 年末年始の国内合宿からここまで、「チームの雰囲気は良い」(岡崎)。太田も「こういう大会は勝ちながらまとまっていくものなので、それぞれの立場でしっかり貢献していきたい」と、控えという立場でもチームを支えていく覚悟ができている。
 
 まずはパレスチナをきっちりと叩き、日本は波に乗りたい。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト)
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