東京五輪の主役候補に? 覚醒したスペインの若き右サイドアタッカー

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2020年01月01日

EURO出場も夢ではない

今シーズン急成長を遂げたバレンシアのフェラン・トーレス。(C)Getty Images

画像を見る

 センテナリオの1年がまもなく終焉を迎えるバレンシアにとって、2019年最大のトピックのひとつがフェラン・トーレスの覚醒だろう。

 開幕当初は、昨シーズンまでと同様に出場機会は散発的に留まっていたが、今シーズン初得点を挙げたCLのリール戦(11月5日)を前後してスタメンに定着。右サイドをメインに、左サイドまたはFWと、怪我人が続出するチームで複数のポジションをこなしながら、瞬く間に攻撃の中心選手にのし上がった。
 
 最大の魅力は、長いストライドと爆発的なスピードで相手を置き去りにするドリブルとロングランニング。一瞬でトップスピードに乗る瞬発力と左右両足を巧みに使いこなすボールキープ力も持ち合わせているため、相手は間合いに入るタイミングを掴めず、推進力を利してぐんぐん前に突進する。

 そのドリブルの殺傷力の高さがあるからこそ、相手DFは引きつられ、さらに突進できないと判断するや、味方とのコンビネーションで崩す術もしっかり心得ている。左右両足から繰り出される正確なキックも持ち味で、縦方向に抜いて、あるいは裏に抜け出してクロスという形が十八番だ。

 この縦突破型のプレースタイルをフルに発揮できる順足の右サイドが本職だが、カットインからの強烈なシュートを武器に左サイドでも高い適性を見せる。加えてゴール前での冷静なフィニッシュワークや逆サイドからのクロスに合わせるタイミングも光り、ここまで全コンペティションを通じて4得点を挙げている。

 攻撃全般でこれだけのプレゼンスを発揮すれば自ずと相手のマークが集中するが、それでもボールを要求し、果敢に仕掛ける。近年、バレンシアの攻撃はゴンサロ・ゲデスが主戦場とする左サイドに偏っていたが、フェランの台頭によって一気に右サイドの攻撃力が増した。

 このボリュームのある攻撃を90分通して仕掛けられる相手DFはたまったものではない。18節のバジャドリー戦での後半ロスタイムのマヌ・バジェホへの同点アシストが示すように、試合終盤に大仕事をやってのける機会が多いのは、フェランのそうしたメンタルの強さとアグレッシブなプレースタイルの所以でもある。

 アルベルト・セラデス監督の高い信頼を追い風に、試合を重ねるごとに自信をつけてきており、ゲデスやデニス・チェリシェフら怪我人が戦列に戻ってきても、その座を明け渡すとは考えにくい。久々にスペインサッカーに現われた大型サイドアタッカー。まだA代表でのプレー経験はないが、急激なスピードでの進化を考えれば、来たる2020年、東京五輪はもちろん、EURO出場も決して夢ではない。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

【動画】日本の雑誌掲載に喜ぶフェランからのメッセージはこちら
【関連記事】
「不規則なパフォーマンスだったが…」香川真司が2020年初戦で勝利宣言! スペイン紙は前半の活躍をどう評価した?
シャビとピルロの領域に近づきつつあるバレンシアの司令塔【現地発】
ビジャに憧れる“バレンシアの至宝”フェラン・トーレス、その知られざる素顔に迫る【独占インタビュー】
5つの視点から読み解くバルサの問題点――このまま「その他大勢」に成り下がるのか【現地発】
【東京五輪世代の最新序列】久保も堂安も安泰ではない…2019年に熾烈化したポジションは?

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ