大舞台での結果か、年間の実績か――ワールドカップイヤーのバロンドールを考察する

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年12月30日

基本的にクラブの実績重視も、近年はW杯優勝国からの選出が多。

代表チームでの世界一とクラブでの欧州&世界一はどちらに価値がある? ちなみに欧州選手権の年で見ると、全14年のうち優勝国から選出されたのはわずか5回である。 (C) Getty Images

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 UEFA会長ミシェル・プラティニは「ワールドカップが開催された年には、優勝国の選手がバロンドール(年間最優秀選手)に選出されるべきだと思う」と持論を語った。
 
 これに対して、最終の3名にノミネートされたクリスチアーノ・ロナウドが所属するレアル・マドリーが「立場を考えて発言すべき」と批判した。
 
 さらに先日のクラブ・ワールドカップの表彰式で、C・ロナウドがプラティニ会長との握手を拒否したという――。
 
 バロンドールをめぐる論争は、年明けの1月12日が近くづくにつれて、ますます活況を呈している。もっとも、前述の三者については、持論を言う方もそれを批判する方も、あるいは握手を拒否する方も、言わば“どっちもどっち”であり、誰が正解で、誰が間違っているというものでもない。
 
 その判断は他に譲るとして、ここで触れたいのは、過去のワールドカップイヤーではどの国のどの選手が“MVP”のタイトルを獲得してきたのかということだ。そして果たして過去に、今回のような論争は起きたのだろうか。
 
 下記は、過去のワールドカップ開催年における各賞の受賞者である。フランスフットボール誌が創立した「バロンドール」は、欧州最優秀選手賞として1994年までは欧州出身選手のみが対象だったが、95年からは欧州でプレーする全ての選手に受賞資格が与えられ、2010年からは「FIFA最優秀選手」と合併して「FIFAバロンドール」となった。
 
 それゆえ当然ながら、94年まではワールドカップで南米の国が優勝した場合、バロンドールの受賞は欧州出身の選手となった。
 
 58年はスウェーデン大会で3位に輝いたフランスの中心選手で、所属するレアル・マドリーでは欧州連続制覇を続けていたレイモン・コパ、62年はチリ大会で決勝戦まで進出したチェコスロバキアの核でもあったヨゼフ・マソプスト、そして70年はメキシコ大会で得点王となった西ドイツのゲルト・ミュラーが欧州最優秀選手の勲章を手に入れた。
 
 これを見ると、比較的ワールドカップの成績が反映されていると思われるが、58年は準優勝したスウェーデンの選手ではなく、70年も同じく準優勝のイタリアから受賞者が出なかったことに、クラブレベルにかなりの重きが置かれるという独自の視点が選考に影響を及ぼしていることがうかがえる。
 
 それは南米年間最優秀選手の場合はさらに顕著で、下記の一覧の通り、長い歴史において、ほとんどワールドカップの成績は考慮されていないのが分かる。大陸の年間MVPは、その大陸のなかで成し遂げた実績に対して贈られるというのが、選考の根本にあるようだ。
 
 74年はまた変わったケースで、ワールドカップに優勝したのは欧州勢の西ドイツだったが、年間MVPには準優勝したオランダのヨハン・クライフが選ばれた。クライフは自国のサッカーに誇りを持ち、決勝戦後には「優勝した西ドイツよりも、オランダの方が人々の記憶に残るはずだ」と語ったが、そのインパクトの強さはバロンドールの選考においても同様だった。
 
 78年には本大会にも出場していないイングランドのケビン・キーガンが選出されたが、ハンブルクでの活躍が、ワールドカップで上位進出を果たしたオランダ(準優勝)、イタリア(4位)の選手を上回るかたちとなった。
 
 ディエゴ・マラドーナが輝いた86年は、ソ連のイゴール・ベラノフが戴冠。これはバロンドールの歴史において最高のサプライズとも言えるが、メキシコ大会で快進撃を見せたソ連の点取り屋としてハットトリックを達成するなど活躍し、大会前には所属するディナモ・キエフにカップウィナーズ・カップをもたらしたことが評価されてのものだった。
 
 94年は、ワールドカップではイタリア、大会前のチャンピオンズ・リーグ(CL)ではミランが優勝したものの、バロンドールはそのイタリアに敗れたブルガリア代表のエース、さらにはCLでは決勝でミランに敗れたバルセロナのFWでもあるフリスト・ストイチコフが手にした。ワールドカップ得点王のタイトルが大きかったと思われる。
 
 これ以降はバロンドールも、ワールドカップ優勝国から選出される年が続いたが、2010年、スペインが初の世界一に輝いた年の最優秀選手にはリオネル・メッシが選出された。この時もプラティニ会長は、メッシの力を認めながらも、スペイン代表選手からバロンドールは選ばれるべきだったと不満を述べている。
 
 この時のスペイン代表は、過去のどの優勝国よりも組織力が前面に押し出されたチームであり、それゆえにアンドレス・イニエスタ、シャビ、イケル・カシージャス、ダビド・ヴィジャなど評価が分散してしまったことが、メッシにタイトルを奪われる要因になったと思われる。
 
 さてこうした過去の例を踏まえると、今年のバロンドールはマヌエル・ノイアーとC・ロナウドの一騎打ちになると多くの人々が予想する。
 
 CL上位の常連であるバイエルンの守護神であり、さらにドイツ代表でも世界一となったマヌエル・ノイアー。対してC・ロナウドは、ポルトガル代表ではグループリーグ敗退に終わったものの、R・マドリーでは今夏に欧州の頂点に立ち、さらにクラブ・ワールドカップも制するなど、クラブレベルではノイアーを明らかに上回っている。
 
 果たして、各国代表チームの監督と主将、サッカー記者の合計約400名による投票の末に、どのような結果が下されるのだろうか。
 
 
◎ワールドカップ開催年の各賞受賞者
 
◇バロンドール(1956年~)
1958年 レイモン・コパ(フランス) 優勝 ブラジル
1962年 ヨゼフ・マソプスト(チェコスロバキア) 優勝 ブラジル
1966年 ボビー・チャールトン(イングランド) 優勝 イングランド
1970年 ゲルト・ミュラー(西ドイツ) 優勝 ブラジル
1974年 ヨハン・クライフ(オランダ) 優勝 西ドイツ
1978年 ケビン・キーガン(イングランド) 優勝 アルゼンチン
1982年 パオロ・ロッシ(イタリア) 優勝 イタリア
1986年 イゴール・ベラノフ(ソ連) 優勝 アルゼンチン
1990年 ローター・マテウス(西ドイツ) 優勝 西ドイツ
1994年 フリスト・ストイチコフ(ブルガリア) 優勝 ブラジル
1998年 ジネディーヌ・ジダン(フランス) 優勝 フランス
2002年 ロナウド(ブラジル) 優勝 ブラジル
2006年 ファビオ・カンナバーロ(イタリア) 優勝 イタリア
2010年 リオネル・メッシ(アルゼンチン) 優勝 スペイン
 
◇FIFA最優秀選手(1991~2009年)
1994年 ロマーリオ(ブラジル)
1998年 ジネディーヌ・ジダン(フランス)
2002年 ロナウド(ブラジル)
2006年 ファビオ・カンナバーロ(イタリア)
 
◇南米年間最優秀選手(1971年~)
1974年 エリアス・フィゲロア(チリ)
1978年 マリオ・ケンペス(アルゼンチン)
1982年 ジーコ(ブラジル)
1986年 アントニオ・アルサメンディ(ウルグアイ)
1990年 ラウル・アマリージャ(パラグアイ)
1994年 カフー(ブラジル)
1998年 マルティン・パレルモ(アルゼンチン)
2002年 ホセ・カルドーソ(パラグアイ)
2006年 マティアス・フェルナンデス(チリ)
2010年 アンドレス・ダレッサンドロ(アルゼンチン)
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