“フツー”の指揮官、ジネディーヌ・ジダンの偉大さ【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2019年10月05日

「ボスとしての風格」が備わっている

今年3月にマドリーの指揮官に復帰したジダン。怪我人続出のなか何とか勝点を積み重ねている。(C)Getty Images

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 ジネディーヌ・ジダン第2次政権の実質1年目となった今シーズン、マドリーは開幕以来、数試合はもたついている。

とりわけチャンピオンズ・リーグ開幕戦でパリ・サンジェルマンに敗れた試合は、惨憺たる内容だった。プレシーズンを通じ、脆さを見せ続けていたこともあって、批判的な論調が噴出した。

 しかしながら、ジダンは揺るがない。選手を一つにし、上昇の気配を見せつつある。無様な試合を重ねながら、踏みとどまれるのはなぜなのか?

 ジダン監督は、実直な指揮官である。記者会見で、ネタになるような発言で楽しませるタイプではない。また、斬新な戦術を果敢に推し進めるわけでもない。

 ジダンその人も、志向するサッカーも、真面目で「フツー」だ。

 しかしだからこそ、内部で信頼されるのだろう。その生き方とサッカーへの姿勢が符合していることで、自然に選手のリスペクトを集める。言うまでもなく、選手時代の偉大な記録、プレーの数々は、その土台になっているわけだが、人間性そのものがリーダーとしての魅力になっているのだ。

<ボスとしての風格>

 ジダンには、それが備わっている。具体的に、その風格を構成しているのは、選手の素質、状態を見抜く「目」にあるだろう。
 
 欧州3連覇を成し遂げた時、ジダンはレギュラー選手が稼働できなくなった時、「Bチーム」を用いて勝利をものにしている。戦える控え組を選別し、抜擢、次々にその選手たちが活躍を遂げた。イスコ、アルバロ・モラタ、マルコ・アセンシオのプレーは目覚ましいものがあった。

 なにより、ジダンは権力に対し、向き合える監督と言える。

「我々のGKはケイラー・ナバスである」

 一昨シーズン、ジダンはそう言って、クラブが推し進めていたGK補強を断っている。

 この結果、ナバスは奮戦した。意気に感じたのだろう。守護神としてタイトル獲得をもたらした。

 その効果はナバス一人にとどまらなかった。選手全員が、その判断に奮い立っている。上からの圧力に屈せず、現場の決断を曲げない、そのリーダーとしての姿勢にチームが結束したのだ(この代償としてジダンはクラブ首脳陣から疎まれ、それが最終的に一度は決別に至った理由とも言われる)。
 
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