カシマスタジアムから程近い場所にある鹿島学園。
選手権への出場は8回で、2008年にはベスト4入りを果たした。個人を見ても多くの選手をJの舞台に送り込んでおり、OBには佐々木竜太(元鹿島など、現・南葛SC)や双子の西谷優希、和希(栃木)がいる。今最も名を挙げている東京五輪世代の上田綺世(鹿島)も同校の出身だ。
Jリーガーを輩出してきた一方で、近年は冬の選手権に顔を出せていない。最後に出場したのは上田を擁した2016年。以降は明秀日立などに主役の座を奪われ、今年のインターハイも県大会の準決勝で姿を消した。だが、力がないわけではない。今年のチームは上田のような圧倒的な個を持つタレントはいないものの、全国を狙うだけのポテンシャルを秘めている。

「特筆した選手や大柄な選手がいるわけではなく、速い選手や上手い選手がいるわけでもない。1、2年生も多いけど、まとまりはあって、一生懸命に頑張れる」
鈴木雅人監督が明かす通り、武器は組織力と献身性。守備の中心は184センチの大型GK・中島遼太郎(3年)と主将のCB豊島朱凌(3年)で、粘り強いディフェンスで相手に付け入る隙を与えない。攻撃陣は茨城県リーグ1部で12得点を挙げているFW磯部直也(3年)や司令塔の仲佐友希(3年)が軸。ショートパスと速攻を使い分けながら、ゴールを陥れる。
インターハイ予選では持ち味を発揮できなかったものの、7月と8月の遠征を通じて選手たちは一回り成長。米子北や京都橘といった全国の強豪校とも互角以上に戦い、ひとつ上のステージで戦える手応えを得た。
「どことやっても得点が取れて、良い形で相手を崩せている。でも、どことやっても失点をしている。なので、失点率を下げながら、得点率をあげていきたい。どことやっても勝てるけど、大負けもある。なので、失点をもっと0に標準を持っていかないといけない」(鈴木監督)
全国を目指すために取り組むべき課題はある。ただ、それ以上の伸びしろを残しているのが現在のチーム。これから始まる予選に向けてどこまで成長できるかが重要だ。