【横浜FC】物足りなかった“ボランチ俊輔”。当の本人はどんな想いでプレーしているのか?

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェスト)

2019年08月15日

41歳の“おっさん”の貪欲さと向上心

天皇杯3回戦の横浜戦で、移籍後初先発&フル出場を果たした俊輔。正確無比なサイドチェンジなど、技術の高さは相変わらずだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[天皇杯3回戦]横浜2-1横浜FC/8月14日/ニッパツ

 主なタスクは、周囲へのシンプルなパス供給。ただそれも、そこまで頻度は高くない。時折見せるサイドチェンジは抜群の精度だったが、それでも“ボランチ中村俊輔”にはどこか物足りない印象を受けた。

 本来は「トップ下」というポジションに強いこだわりを持つ男だ。できるだけプレーに関与して、巧みなキープと長短織り交ぜたパスで攻撃の全権を握る――だが、古巣の横浜F・マリノスとの天皇杯3回戦で(結果は1-2の敗戦)、4-4-2のダブルボランチでフル出場した俊輔は、チームの“主役”になれるだけの実力を備える背番号46は、味方の良さを引き出すための役割に徹していた。

 それが悪いとは思わない。三浦知良も「みんなが慌ててしまうようなところでも、俊輔が落ちついてプレーしているから、全体も落ち着く」とコメントするように、シンプルだが確実性の高い一つひとつのパスは、間違いなくボールの流れをスムーズにしていた。

 当の本人は「チームの戦術がある。それをまず守りながら」というスタンスだ。そこはブレない。一方で「もっと動いて、もっとボールに触りたいけど」という想いもある。下平隆宏監督からは、自分のやり方でいいよ、と言われているようだが、あくまでもチーム戦術にプライオリティを置いた振る舞いを心がける。「うちにはスピードのある選手がいる。彼らをどう活かすか」と。

 必要以上にボールをこねくり回さず、チームとして効率良く局面を前に進めてゴールを陥れようとする。そのためには、ボランチとしてピッチ中央にどっしりと構えて、テンポ良くパスを散らしていく。
 
 途中加入の難しさを感じてもいるのだろう。「中盤の選手で、こんなおっさんがね」と自嘲気味に笑う理由はこうだ。

「チームはできあがっているから。そこに急にひとり来て、その選手に合わせることはまずない。それができるのはストライカーだけ。自分の色に染めるのではなくて、自分がこのチームの染まるように、どうしたらいいか」

 とはいえ、「このチームのやり方の中で、自分の色を少しずつ出していければ」とも願う。「もっと“見つけられる”。動かないでもっと良いプレーができるんじゃないか」と、横浜FCへの移籍を機に、新たな引き出しを増やして、さらなるバージョンアップを期している。

 今はまだ、戸惑い、悩んだりすることのほうが多いかもしれない。シーズンも折り返して、残された時間も限られているなかで焦りを感じているかもしれないが、「そういう苦悩を含めて、楽しんでやっています」と前を向く。

 41歳の“おっさん”は「自分にしかないものを作りたい」と、相変わらずの貪欲さと向上心で、新天地での日々を過ごしている。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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