“隣人”マンチェスター・シティとの争奪戦を制してハリー・マグワイアの獲得に成功し、ともに21歳のダニエル・ジェームズとアーロン・ワン＝ビサカという将来性のある俊英を手中に収めた点は評価に値する。

　とはいえ、一方で、ロメル・ルカクがインテルに去った前線の補強が進まず、ブルーノ・フェルナンデス（スポルティング）やクリスティアン・エリクセン（トッテナム）など、レアル・マドリーへの移籍を望んでいるポール・ポグバの後釜も確保できなかった。

　フロントへの批判の声が高まるなど、今夏の補強が成功したとは言い難いマンチェスター・ユナイテッド。その現時点での序列を整理しておこう。

　GKは昨シーズンと変わらず、ダビド・デ・ヘアが正守護神、２番手をセルヒオ・ロメロが務める。昨シーズンの後半戦はらしくない失点を重ねたデ・ヘアの奮起が期待される。
　
　最終ラインの軸となるのは、DF史上最高額の8000万ポンド（約104億円）でレスターから引き抜いたマグワイア。CBペアを組むのはヴィクトル・リンデロフか。プレシーズンマッチで怪我を負ったエリック・バイリーが５か月あまり離脱するのは痛いが、経験豊富なクリス・スモーリング、フィル・ジョーンズ、マルコス・ロホが控えており、頭数は揃っている。
 

　右SBは新戦力のワン＝ビサカがベテランのアシュリー・ヤングから定位置を奪いそうな勢いだ。左SBは昨シーズンに一皮剥けたルーク・ショーが引き続きレギュラーを担う。ヤングを含め、ディオゴ・ダロ、マッテオ・ダルミアンとバックアッパーには左右兼用のSBが控える。

　中盤の要は、もちろんポグバだ。本人は退団を希望しているものの、後釜を用意できなかったユナイテッドは、交渉を受け付けない姿勢で、マドリーも獲得を断念したとも報じされている。ただ、最後まで予断を許さず、また残留したとしても高いモチベーションでプレーでるのかという懸念も残る。いずれにしても、このフランス代表MFがキーマンなのは間違いない。

　そのポグバの相棒を務めるネマニャ・マティッチはともかく、フレッジ、スコット・マクトミネイ、アンドレアス・ペレイラというバックアッパー陣はやや心許ない。契約満了でパリ・サンジェルマンへと渡ったアンデル・エレーラの穴は小さくないかもしれない。