「初めて使う言葉かもしれないですけど、『悔しかった』」
6月最後の日、前半戦最後となる17節の川崎戦を終えると、磐田の名波浩監督は成績不振と、「選手たちに気持ち良くサッカーをさせてあげられていない」ことに責任を取る形で、辞任を表明した。
川崎戦は1-3の敗戦。ただ、試合後の会見で「今日のゲームで勝とうが負けようが、ここで辞任することを決めていました」と明かした。
いつ、その決断を下したのか。それに関しては「差し控えさせていただきます」と口を閉ざす。自らの進退にケジメをつけると決めてから、「選手やスタッフ、社長や強化部と話そうが」一切泣かなかったという。
たった一度だけ、あの朝を除いては――。
「(辞任を)決めてからここまでもう一切……あ、一切泣いてはなくないな。今日(川崎戦当日)の朝、ちょっとあの、大分と戦った、あの昇格(を決めた)、J2のラストゲームを見て、あれでちょっと泣きました」
2015年のJ2リーグ最終節、大分に2-1で競り勝ってJ1昇格を決めた。62分に伊野波雅彦のゴールで先制。90分に同点に追いつかれるも、アディショナルタイムに小林祐希が決勝点を叩き込む。劇的な勝利――名波にとって思い出深い一戦だが、同時に「監督を辞職するひとつの要因」でもあった。
「大分戦のあの感動は、ここにいるみなさんもご存じの方は多いと思うんですけど、やっぱりあれ以上の感動を生み出せなかった、あれ以上の感動するようなゲームを、もっともっとたくさん、サポーター、ファンのみなさんに見せられていれば、こういう結末にはならなかったと思うので」
胸を占めたのは「無念」の二文字だったか。「初めて使う言葉かもしれないですけど、『悔しかった』かなと思っています」と名波は静かに語った。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
川崎戦は1-3の敗戦。ただ、試合後の会見で「今日のゲームで勝とうが負けようが、ここで辞任することを決めていました」と明かした。
いつ、その決断を下したのか。それに関しては「差し控えさせていただきます」と口を閉ざす。自らの進退にケジメをつけると決めてから、「選手やスタッフ、社長や強化部と話そうが」一切泣かなかったという。
たった一度だけ、あの朝を除いては――。
「(辞任を)決めてからここまでもう一切……あ、一切泣いてはなくないな。今日(川崎戦当日)の朝、ちょっとあの、大分と戦った、あの昇格(を決めた)、J2のラストゲームを見て、あれでちょっと泣きました」
2015年のJ2リーグ最終節、大分に2-1で競り勝ってJ1昇格を決めた。62分に伊野波雅彦のゴールで先制。90分に同点に追いつかれるも、アディショナルタイムに小林祐希が決勝点を叩き込む。劇的な勝利――名波にとって思い出深い一戦だが、同時に「監督を辞職するひとつの要因」でもあった。
「大分戦のあの感動は、ここにいるみなさんもご存じの方は多いと思うんですけど、やっぱりあれ以上の感動を生み出せなかった、あれ以上の感動するようなゲームを、もっともっとたくさん、サポーター、ファンのみなさんに見せられていれば、こういう結末にはならなかったと思うので」
胸を占めたのは「無念」の二文字だったか。「初めて使う言葉かもしれないですけど、『悔しかった』かなと思っています」と名波は静かに語った。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)