「これまで何度も対戦しているんだけどね。なんで今ごろなんだろう」と中村
ACL4節、3位の川崎フロンターレと首位の蔚山現代との試合終了直後。まだ報道陣がほとんどいないミックスゾーンのそばで、蔚山の韓国人選手が川崎のスタッフを捕まえて、なにやら頼み事をしていた。
よく見れば、その選手は柏レイソルから期限付き移籍中のキム・ボギョンだった。キム・ボギョンとの会話を終えたスタッフは、川崎のロッカールームのほうへと消えていった。
しばらくしてやって来たのは、中村憲剛だった。手にはユニホームが握られている。恐縮した様子のキム・ボギョンが中村からユニホームを受け取り、二言三言会話を交わすと、ふたりはそれぞれのロッカールームに戻っていった。
それから数十分後、ミックスゾーンに姿を現した中村がちょっぴり不思議な顔をして、キム・ボギョンとの交流を振り返った。
よく見れば、その選手は柏レイソルから期限付き移籍中のキム・ボギョンだった。キム・ボギョンとの会話を終えたスタッフは、川崎のロッカールームのほうへと消えていった。
しばらくしてやって来たのは、中村憲剛だった。手にはユニホームが握られている。恐縮した様子のキム・ボギョンが中村からユニホームを受け取り、二言三言会話を交わすと、ふたりはそれぞれのロッカールームに戻っていった。
それから数十分後、ミックスゾーンに姿を現した中村がちょっぴり不思議な顔をして、キム・ボギョンとの交流を振り返った。
「俺のユニホームが欲しかったんだって。でも、これまで何度も対戦しているんだけどね。なんで今ごろなんだろう」
そこで、キム・ボギョンに訊ねてみると、流暢な日本語で答えてくれた。
「たしかに日本で何度も対戦しているんですけど、同じリーグで対戦しているので、ユニホームを交換するのは、なかなか難しかったんです」
さらに、キム・ボギョンが声を弾ませる。
「僕は、日本で大好きな選手が3人いるんです。それは遠藤保仁選手、中村俊輔選手、そして中村憲剛選手。特に中村憲剛選手は大好きで、よくお手本にさせてもらっています。だから、今日こそユニホームを交換してもらいたかったんです」
この日、キム・ボギョンはフル出場を果たしたが、中村は78分に途中交代していた。そのためピッチで交換できず、意を決して川崎のスタッフに願い出たというわけだった。
試合は蔚山が2−1とリードして終盤を迎えたが、82分に知念慶のゴールで川崎が追いつき、2−2の痛み分けに終わった。
蔚山にとっては勝点2を失う結果となったが、グループ首位を走る蔚山にとってアウェーでのドローは及第点と言っていい。
ノックアウトステージ進出に大きく近づく勝点1と、憧れの選手のユニホームを手に入れたボギョンは、ほくほく顔でミックスゾーンを後にした。
取材・文●飯尾篤史(スポーツライター)
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