後半だけでシュート10本の攻勢も「90分はもたない…」ガンバ宮本監督が葛藤する理想と現実の狭間

カテゴリ:Jリーグ

飯間 健

2019年04月20日

「後半45分間のようなテンションでは90分間は持たない」と宮本監督

大分戦をなんとかドローとしたG大阪。宮本監督も我慢の時期と捉えているようだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ8節]G大阪1-1大分/4月20日/パナスタ
 
 日本代表GK東口順昭の言葉が現状を物語っていた。
「相手は(順位的に)格上。前半、自陣に引いた戦い方をするのは、今日に限っては良かったと思う。そういう戦い方は間違えていない」
 
 試合開始前の時点でG大阪はリーグ3連敗、2試合連続無得点で15位と苦しんでいた。さらに今季ホーム戦は4戦4敗。そんななかで迎えた好調・大分との一戦で、宮本恒靖監督が選択したのは今季初めてとなる3-4-3システム。敵将・片野坂監督が「予想していなかった」というミラーゲームだった。
 
 ただ前線からのプレスで相手をハメこんでいくのではなく、イメージは「(相手の)スペースを消すこと」(宮本監督)。守備の時は左右ウイングバックを務めたMF田中達也とDFオ・ジェソクが下がって5バックになり、チーム全体の重心を低くした。
 
「0-0ならばプラン通りだった」
 そう元日本代表MF遠藤保仁が話したように不運な1失点を喫して完遂することはできなかったが、調子が上がらない状態にあって、まず自分たちのスタイルを貫くよりも相手の良さを消すことを優先させる戦いは常套手段だ。そして僅差の展開になれば二の矢を放つ用意もしてあった。
 
 韓国代表FWファン・ウィジョとFWアデミウソン、そしてMF小野瀬康介の“トリプル・ジョーカー”だ。指揮官は「後半はリズムを変えて攻めにいくつもりだった。90分間で相手を上回りたかった」。
 
 後半開始から従来の4-2-3-1システムに変更し、アデミウソンを投入。FW渡邊千真の負傷交代を受けて前半途中から出場していたファン・ウィジョとともに攻撃のスイッチ役になり、14分にピッチに送り出された小野瀬が勢いを加速させた。シュート2本に終わった前半とは打って変わり、後半だけで10本のシュート。宮本監督就任後、最速で交代カードすべてを使い切り、26分の遠藤の同点弾を呼び込んだ。
 
 相手に合わせた戦い方や守備的な戦術は、クラブが志向する本来の戦い方ではないだろう。筆者自身も含めて“試合開始から4-2-3-1システムで戦っても良い戦いができたのでは……”と思ってしまう人間もいるだろう。事実、宮本監督も「ホームで勝てないなかで試行錯誤しながらです」と渋い表情を浮かべる。
 
 だが「後半45分間のようなテンションでは90分間は持たない」(宮本監督)と口にしたように理想ばかりを追い求めるのではなく、“弱者”であることを受け入れることも勇気と強さである。
 
 歯車が噛み合えばリーグ9連勝を達成した昨シーズン後半戦のような“強者”になれることは分かっている。今は泥臭く勝点1でも獲得していくこと。雌伏の時を乗り越えた先に、至福の時が待っていることを信じて――。
 
取材・文●飯間 健
 

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