その貴重なゴールは、セレブレーションも称えられている。

　現地時間４月11日、アーセナルは、ナポリとのヨーロッパリーグ準々決勝の第１レグに臨み、２-０の快勝を飾った。

　優勝候補同士の大一番で貴重な追加点となったオウンゴールを呼び込むシュートを放ったのが、MFルーカス・トレイラだ。

　15分、見事なパスワークからアーロン・ラムジーが先制点を挙げた、その10分後だった。敵のパスをカットしたトレイラは、そのまま持ち込み、鮮やかな切り返しでファビアン・ルイスをかわして左足でシュート。これがDFカリドゥ・クリバリに当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれたのだ。

　すると、トレイラはベンチに駆け寄り、一枚の白いTシャツを受け取ると、両手に掲げるゴールパフォーマンスを見せた。

　そのシャツにプリントされていたのは、トレイラ本人とある男性のツーショット写真。手にしているのは、このウルグアイ代表MFのサンプドリア時代のユニホームだ。そして、その写真の下には、「私たちはあなたを愛しているし、あなたが恋しい、ラフィータ」というメッセージが添えられていた。

　この男性は、トレイラと同郷の友人であるラファエル・グアリーノさんで、先日、交通事故に遭い帰らぬ人となっていた。その旧友にゴールを捧げたのだ。
 

　試合の翌日、トレイラはツイッターを更新。「私の友人であるラフィータに捧げるため、この勝利とゴールは重要だった」と投稿している。

　このツイートに、ファンも反応。次のようなメッセージが寄せられている。

「ご冥福をお祈りします」
「（亡くなった）彼も今日のプレーを誇りに思っているはず」
「昨晩、あなたが世界中の人の前で彼の人生を悼んだのは、素晴らしいことだ」
「すべてのプレーに魂が籠っていた」
「ユナイテッド・ファンだけど、この男が大好きだ」

　持ち味の守備でも気持ちの籠ったプレーを見せ、ファンの心を打ったトレイラ。その想いは、天国のグアリーノさんに届いたはずだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部