昨年の1月31日――。その日までにどのチームからも話がなければ、サッカーを辞める
「ちょうど1年前、『引退しないといけないかもしれない』というところまで追い込まれていました。そこからレノファでチャンスをいただき、こうしてチャンピオンチームで機会をもらえて、本当に諦めなくて良かったです。どこかで観てくれている方がいて、こうしてサッカー選手を続けられています。たくさんの方々への感謝の気持ちでいっぱいです」
今季レノファ山口から川崎フロンターレに期限付き移籍したGK藤嶋栄介はこの1年、まさにドラマのような――文字通り劇的なサッカー人生を歩んできた。
昨年1月7日、藤嶋は結婚式を挙げて、たくさんの人から祝福を受けた。もちろん幸せだった。ただ、ふとした瞬間に心の底から喜べずにいる自分がいた。2017シーズン限りで松本山雅への期限付き移籍を終えたが、所属元のサガン鳥栖からはレンタルバックなどの発表がなく、新たなチームも見つけられずにいた。
「宙ぶらりんでした。決まりそうだけれど、決まらない。そういう話が続いて、仕事がない立場でした」
鳥栖からレンタルされた2年間、松本山雅での2017シーズンは天皇杯1試合のみに出場。前年のジェフ千葉では一度も公式戦のピッチに立てなかった。
結婚式の後、現実は一段と重く藤嶋にのしかかる。
1月14日、鳥栖から今季限りでの契約満了が、正式にアナウンスされる。
一方、続々とGKの移籍先と契約更新が決まっていき、藤嶋は焦りを募らせるばかり。
今年の川崎フロンターレの新体制発表会が行われたのは1月27日だったが、「昨年のこの日、僕はまだチームが決まっていませんでした。どのチームもキャンプが始まり、いろんなチームに連絡を入れても、『もうゴールキーパーは補強しないよ』と断られ続けていました」。
今季レノファ山口から川崎フロンターレに期限付き移籍したGK藤嶋栄介はこの1年、まさにドラマのような――文字通り劇的なサッカー人生を歩んできた。
昨年1月7日、藤嶋は結婚式を挙げて、たくさんの人から祝福を受けた。もちろん幸せだった。ただ、ふとした瞬間に心の底から喜べずにいる自分がいた。2017シーズン限りで松本山雅への期限付き移籍を終えたが、所属元のサガン鳥栖からはレンタルバックなどの発表がなく、新たなチームも見つけられずにいた。
「宙ぶらりんでした。決まりそうだけれど、決まらない。そういう話が続いて、仕事がない立場でした」
鳥栖からレンタルされた2年間、松本山雅での2017シーズンは天皇杯1試合のみに出場。前年のジェフ千葉では一度も公式戦のピッチに立てなかった。
結婚式の後、現実は一段と重く藤嶋にのしかかる。
1月14日、鳥栖から今季限りでの契約満了が、正式にアナウンスされる。
一方、続々とGKの移籍先と契約更新が決まっていき、藤嶋は焦りを募らせるばかり。
今年の川崎フロンターレの新体制発表会が行われたのは1月27日だったが、「昨年のこの日、僕はまだチームが決まっていませんでした。どのチームもキャンプが始まり、いろんなチームに連絡を入れても、『もうゴールキーパーは補強しないよ』と断られ続けていました」。
結婚して守るべき家族を持ったばかりの藤嶋は、人生の岐路に立たされた。
「サッカーを続けたい想いはありましたが、家庭を持ったわけで、ただ『サッカーを続けたい』と自分のことだけを考えて言い続けるわけにはいきませんでした」
彼は自分のなかで、ケジメをつけた。
1月31日――。その日までにどのチームからも話がなければ、サッカーを辞める。そう決めたのだ。その日は、自身の26回目の誕生日でもあった。
「サッカーを続けたい想いはありましたが、家庭を持ったわけで、ただ『サッカーを続けたい』と自分のことだけを考えて言い続けるわけにはいきませんでした」
彼は自分のなかで、ケジメをつけた。
1月31日――。その日までにどのチームからも話がなければ、サッカーを辞める。そう決めたのだ。その日は、自身の26回目の誕生日でもあった。