「ロンドンで、彼は迷子になってしまった」
若かりし頃に手放した選手が、別のクラブで大成するのは珍しいことではない。ただ、その選手が世界のトップクラスにまで飛躍を遂げれば、手放した指揮官は批判されるものだ。
リバプールに所属するモハメド・サラーをチェルシー時代に放出したジョゼ・モウリーニョも、そんな批判を浴びせられてきた。
2014年にモウリーニョ率いるチェルシーに加入したサラーだが、大きな活躍を残せずにフィオレンティーナへレンタル移籍。さらに翌シーズンからローマに移籍して飛躍を遂げると、2017年のリバプール移籍でプレミアリーグに戻ってきた。
リバプールに所属するモハメド・サラーをチェルシー時代に放出したジョゼ・モウリーニョも、そんな批判を浴びせられてきた。
2014年にモウリーニョ率いるチェルシーに加入したサラーだが、大きな活躍を残せずにフィオレンティーナへレンタル移籍。さらに翌シーズンからローマに移籍して飛躍を遂げると、2017年のリバプール移籍でプレミアリーグに戻ってきた。
以降のサラーの活躍は周知の通り。昨シーズンのプレミアリーグ得点王に輝き、チームのチャンピオンズ・リーグ(CL)決勝進出に貢献した。エジプト代表としては、ロシア・ワールドカップにも出場し、2年連続でアフリカ最優秀選手に選ばれている。
当然、チェルシーとしてはサラー売却にほぞを噛んでいるはずだ。だがモウリーニョは、サラーを売り払ったのは自分の決定ではないと強調した。
12月にマンチェスター・ユナイテッドの監督を解任されたモウリーニョは、『beIN SPORTS』のコメンテーターを務めるなかで、「サラーのことから始めさせてくれ。事実でないことがたくさん言われてきたからね」と訴えた。(『ESPN』より)
「みんな、私がサラーを売った監督と思っている。私はサラーを“買った”監督だ。だから、完全に間違っている。CLでバーゼルと対戦した時に、私は彼に惚れ込んだんだ。(エデン)アザールやウィリアンといったトップクラスの素晴らしい攻撃的選手がいたにもかかわらず、私はサラーを獲得するようにクラブを動かした」
だが、サラーはロンドンでインパクトを残せなかった。モウリーニョは、「新しい世界で、ロンドンという場所で、彼は迷子になってしまった。我々は彼をもっと良い選手にしたかったが、本人は待つことができず、試合に出ることを望んだんだ」と振り返る。
「だから、イタリアにレンタルさせた。プレーするには良い場所だ。フィオレンティーナには、タイトル獲得の重圧がなかった。ただ、クラブがサラーを売却した時、(決断したのは)私じゃなかった」
「私は彼を売ったのではなく、買ったんだ。彼とは、良い関係だった。彼は、チェルシー移籍を後悔していないと思う。うまく成長できたからだ。だが、彼は毎週試合に出ることを望んでいた。私にそれはできなかったんだ」
サラーがロンドンを離れず、モウリーニョの下で“修行”を続けていても、現在のような活躍を続けることはできたのだろうか。今となっては、誰にも分からない。確かなのは、モウリーニョが、「ダイヤの原石を見抜けなかった」とのレッテルを貼られることを、絶対に受け入れないということだ。