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【2014南関東総体】東福岡MF増山朝陽 今大会最大級のインパクトを残した「ヒガシの7番」が新たな全国の顔に

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2014年08月09日

「自分のプレーで、全国にインパクトを与えたい」

プロのスカウトも注目する東福岡の増山。これからの成長が楽しみな選手だ。 (C) SOCCER DIGEST

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 決勝戦、ヴァンフォーレ甲府のホームスタジアムである、山梨中銀スタジアム。多くの観客が訪れたメインスタンドを、何度もどよめかせたのは、東福岡の背番号7、増山朝陽だった。
 
 どよめきを呼び起こした爆発的なスピードと、高速シザーズを織り交ぜた強引なドリブル突破、そして強烈な足の振りから繰り出される、ライナー性のクロス。「ヒガシのクリスチアーノ・ロナウド」と呼ばれる、威圧感と破壊力を誇るプレーに、スタンドの観客は自然と引き込まれていった。
 
 昨年までレギュラーではなく、3年生になって初めてレギュラーに抜擢された。しかし、そのポテンシャルは1年生の時からすでに認められていた。日本人の父と、スペイン系フィリピン人の母親の間に生まれたハーフの増山は、高い身体能力と、足下の技術を持ち、明らかに「規格外」の選手だった。
 
 それでも、200人超の部員を誇る東福岡の激しいレギュラー争いに苦しみ、なかなか陽の目を見なかった。だが、この下積み期間が背番号7を強くした。スピードアップと筋力アップに努め、持ち前のスピードの生かしどころも工夫し、成長を続けた増山は、ついに爆発する時を迎えた。
 
 春先から、そのサイドアタックはズバ抜けた破壊力を示していた。しかし、やはり本物の「全国区」になるには、インターハイ、選手権での活躍が必要だった。
 
「自分のプレーで、全国にインパクトを与えたい」
 そう語っていた増山は、山梨の地で大きく躍動した。規格外のプレーは、瞬く間に多くのメディアに取り上げられ、プロのスカウトの注目度も格段に増した。そして、決勝戦。増山は準々決勝の鹿児島実戦で、左ふくらはぎに軽い肉離れを起こしていたにもかかわらず、がっちりテーピングを巻き、ピッチに立ち続けた。
 
 自身のプレーでスタンドを最も沸かせたのは、延長戦に入ってからだった。DF末永巧のスーパーゴールで勝ち越した後の76分、左サイドでタッチラインに出そうなボールに猛然とダッシュして追いつくと、「外に出ないようにするのと、さらに自分がスピードに乗れるように、内側に回転を掛けた」と、ワンタッチでボールを前方に押し出す。自身はピッチ外の陸上トラックを走りながら加速し、再びピッチに入ってボールに追いつき、そのままサイドをえぐって、MF赤木翼に決定的なラストパスを送った。とても左足を負傷し、かつ延長戦を戦っているとは思えない突破で、会場は大きくどよめいた。
 
 延長前半9分にも軽やかなボールタッチから、DFふたりをぶち抜きシュート。これはGKのファインセーブに阻まれたが、2点リードで迎えた後半アディショナルタイム。増山はフィナーレを飾った。餅山のシュートをGKが弾き、ゴール前に高々と上がったボールの落下地点にいた増山が、豪快に右足を振り抜き、矢のようなハーフボレーシュートをゴールに突き刺した。
 
「足を怪我してから、正直あまりスピードに乗り切れない自分がいたんです。でも、その分、相手の重心を見てずらしたり、周りのポジショニングや状況を見て、考えながらプレーをしました」
 
 転んでもただでは起き上がらない。2年間苦しんだ分、増山はピッチに立っているその時を大切に、自らの成長につなげようとしている。
 
「もっとスピードに磨きを掛けたい。足の速いSBが相手でも置き去りにできるような。ロッベンのようなスピードがほしいので、これからもっと走り込んで、スプリントを上げていきたい」
 
 ヒガシの7番は間違いなく、今大会で最大級のインパクトを残し、「全国区」に躍り出た。だが、インターハイ優勝は彼にとって通過点。まだまだ伸びるという自信があるからこそ、貪欲にかつ向上心を持って、自らを磨く。さらに多くの観客をどよめかす存在になるべく、増山は「全国区」の顔として新たなスタートを切る。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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