遠野が岩手6連覇を達成!! 「サッカーの街」の支えを最大の武器に台頭著しい私立校に対抗

カテゴリ:高校・ユース・その他

小林健志

2018年11月05日

持ち前のショートパスで花巻東を翻弄。伝統校の底力を見せつける

岩手6連覇を達成した遠野。持ち前のパスサッカーを駆使して、全国の舞台で躍動できるか。写真:小林健志

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 近年、岩手県の高校サッカー界の勢力図が変わりつつある。長らく公立の伝統校である遠野と盛岡商が競い合ってきたが、私立校の台頭が著しい。ひとつはインターハイ県予選で準優勝、県リーグで優勝しプリンスリーグ東北参入戦に出場する専大北上。そしてもうひとつは今年テクニカルアドバイザーに柱谷哲二氏(6月からJ3北九州監督と兼務)、6月からはテクニカルコーチにベガルタ仙台ユース、マイナビベガルタ仙台レディースの監督を務めた越後和男氏を招聘した花巻東だ。今年の選手権県予選決勝は伝統校の遠野と、もうひとつの伝統校・盛岡商に1-0で勝って初の決勝進出を果たした私立校の花巻東の対決。今後の岩手県高校サッカー界の行方を占う一戦に大きな注目が集まった。
 
 しかし蓋を開けてみれば、遠野がショートパスで花巻東を翻弄し、横綱相撲で4-0と圧勝。伝統校の底力を見せつけて堂々の6連覇を達成した。
 
 遠野はインターハイ県予選で、私立の勢いに屈していた。準決勝で専大北上に0-5という大敗を喫したのだ。「プリンスリーグ東北でも大敗を喫する試合が多く、専大北上に0-5で負けたことで、守備の強化に着手しました。守備はディフェンスラインだけでやるわけではありませんが、ディフェンスラインの4人が意図を持って連動して動けるようにやってきました」と遠野の長谷川仁監督は屈辱的大敗を受け、選手権に向けて守備の強化に励んだ。
 
 その結果、選手権予選は4試合でわずか1失点だった。さらに「なかなかチームがうまく機能しないなか、選手を競わせました。決勝の先発の何人かはセカンドチームで県リーグの試合に出ていました」。決勝で2ゴール・1アシストの2年生FW及川魁士もその一人だ。私立の台頭に危機感を持って臨んだことで、選手権県予選6連覇を達成できた。
 
 遠野には大きな強みがある。岩手県遠野市という街自体だ。柳田國男の「遠野物語」が有名で「民話の郷」のイメージが強いが、古くから「サッカーの街」だった。東京Vで活躍したGK菊池新吉(現・J1川崎GKコーチ)、DF菊池利三(現・J3盛岡監督)の兄弟をはじめ、多くの選手を輩出している。「小学校から大人までサッカーをやっている街で、サッカーが根づいていて、街の人から声をかけられることも多いのです」。自らも遠野高出身である長谷川監督は市民の大きな支えへの感謝を口にする。市内には天然芝グラウンドもある上、2014年には人工芝の遠野市国体記念公園市民サッカー場が完成し、練習環境は大幅に向上した。「環境の面は大きい」と長谷川監督は語る。
 
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