この夜のウルグアイは本調子ではなかった。
 
　長旅と時差の影響もあって動きが鈍く、集中力にも欠けていた。また親善試合だから当然なのだが、ウルグアイが身上とする闘争心や球際での激しさも、南米予選やコパ・アメリカでのそれと比べると物足りなかった。


　そんな相手に３点も決められたのはいただけないが、それでも今夜はウルグアイに勝ったことを素直に喜びたい。
 
　最大の収穫はもちろん、４ゴールを決めた攻撃陣。森保監督に抜擢された若い３人、南野、堂安、中島がしっかりと結果を出した。来年１月５日に開幕するアジアカップでは、彼ら３人に大迫を加えた、この試合のセットが攻撃の軸になるかもしれない。
 
　見逃せないのは、４つのゴールすべてが縦への鋭い仕掛けから生まれたということだ。
 
　１点目は中島の鋭いタテパスを受けた南野が、瞬時の反転で複数の敵を外し、右足で叩き込んだ。
　２点目は左サイドからカットインした中島がミドルを放ち、これをGKが弾いたところを大迫が押し込む。
　３点目は酒井との切れ味鋭いワンツーから、堂安が流し込む。
　そして４点目はこぼれ球を堂安が振り抜き、GKが弾いたところを南野がボレーで叩き込んだ。
 

　従来の日本は、ゴールを目指すことよりもボールをつなぐことを優先し、上手いが怖くない試合運びをしてしまうことが少なくなかった。
　だが、健全な競争原理が働く森保ジャパンでは、誰もがいい意味で自分の強みを出そうとしていて、ゴールに向かう意識が非常に高い。それが相手に息をつかせない、畳みかけるようなゴールにつながっている。
 
　攻撃陣の中で、特に目を引いたのが中島だ。
　１点目につながった、南野への強いグラウンダーのパス。これはアルゼンチンあたりで見られる、強いタテパスを彷彿とさせた。
 
　南米では球際が激しく、ゴールにつながる縦へのパスはかなり警戒されるため、強いパス、もしくは敵のタイミングを外すようなパスを出さなければ味方には通らない。そして受け手には、こうした難しいパスを確実に収め、なおかつシュートに持ち込む技量が要求される。せっかく通った縦パスを続けて受け損ねたりすると、味方やファンの信頼を失うことにつながる。このあたりが、プロの厳しさだ。

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