昌平(埼玉1)はあと一歩のところで初の決勝進出を逃したが、藤島崇之監督の顔はどことなく晴れやかだった。
今大会の昌平は序盤戦から話題をさらってきた。1回戦の高知中央(高知)戦を6-1で大勝すると、続く2回戦では優勝候補の青森山田(青森)と対戦。来季からJ2の福岡に加入する三國ケネディエブス(3年)やプロ注目のアタッカー・檀崎竜孔(3年)を擁する優勝候補と相まみえ、2点のビハインドから4-2で逆転勝ちを収めた。
続く3回戦の札幌大谷(北海道1)戦でも、後半の残り30分から3点を奪って2点差を跳ね返す。準々決勝でも今大会屈指のタレント集団・大津(熊本)と対戦し、1-1で迎えた後半アディショナルタイムに原田虹輝(3年)が決勝弾を決めた。
8月12日の準決勝・桐光学園(神奈川2)戦では、雷の影響で予期せぬ4時間半の中断というアクシデントが発生。後半13分の中断前に喫した3連続失点はあまりにも重く、初の全国制覇は潰える結果となったが、それでも再開後に1点差まで追い上げ、改めて自分たちの力を証明したのもまた事実である。
1回戦以外は瀬戸際の勝負を制して4強入り。実に2年ぶりのことだ。当時のチームは針谷岳晃(現磐田)、松本泰志(現広島)らを擁し、後輩たちと同じように2回戦で強豪校から逆転勝利を挙げた。その東福岡を倒した勢いは持続。快進撃は留まるところを知らず、一気に準決勝まで勝ち上がった。
ただ、先輩たちはインターハイ初出場で、全国での実績はまるでない。「昌平ってどこ?」という声も聞こえるようなチームだった。
一方で今大会は全国で実績を残し、Jリーグにも2年連続で選手を輩出したうえでの戦い。そうした勝負で結果を出したのは、2年前から成長した点と言えるだろう。
2年前と今回の4強。藤島監督も持つ意味合いが違うのを理解しており、「2年前はなんとなく上がっていた。同じような形で1回戦を上がっていって、次に強豪に勝つ。その境遇は似ているところがありましたが、今のほうが力を発揮できた部分がある」と確かな手応えを感じている。だからこそ、明るい表情を見せた。
