42歳ミラの最年長ゴールとサレンコの1試合最多の5ゴール!!
1994年6月28日、ロサンゼルスのスタンフォード・スタジアムでは、アメリカ大会のグループリーグ最終戦、ロシア対カメルーン戦が行なわれた。ブラジル、スウェーデンと同組で、ロシアはここまで2敗、カメルーンは1分け1敗ということで、さほどの興味や注目を集める戦いではなかったが、ここで偉大な記録がふたつも生まれたのである。
すでにこの大会では、2戦目のブラジル戦で交代出場したカメルーンの42歳、ロジェ・ミラがワールドカップ史上最年長出場という記録を樹立していたが、このロシア戦では後半からの出場でいきなりゴールを奪い、今度は最年長得点記録を更新。屈強なロシアDFに身体を寄せられながらもバランスを崩すことなく、力強いシュートを放ったのはさすがだった。
82年スペイン大会で脚光を浴びたカメルーンの中心選手として活躍し、90年イタリア大会ではセミリタイヤ状態だったのを、当時の大統領からの要請を受けて代表復帰。2戦目のルーマニア戦で2ゴールを挙げ、一躍ブームを巻き起こした38歳の“老兵”に世界は惜しみない称賛の拍手を贈ったが、まさかその4年後にまた偉業を成し遂げるとは、誰も予想しなかった。
ただこのゴールは、試合全体で見れば「焼け石に水」となった。なぜなら、前半の時点ですでにカメルーンは、ロシアに3ゴールを許していたからだ。そしてその全てを挙げたのがオレグ・サレンコ。この試合で、もうひとつの大記録を作り上げた男である。1989年のワールドユースで得点王に輝き、93年よりスペイン(当時はログロニェス在籍)でプレーしていた点取り屋が、その得点力を爆発させた。
開始15分に速い攻撃から先制ゴールを決めたサレンコは、41分にもこぼれ球を詰めてゴール、さらに44分にはPKを決め、前半のうちにハットトリックを達成していた。後半に前述のミラのゴールで1点を返されるも、サレンコは72、75分と得点を追加。チームの6-1の大勝に大貢献したのだった。これらのゴールは、いずれも技術的にはさほど難易度の高いものではなかったが、逆に言えば、ストライカーとしてのサレンコの状況を読む能力とポジショニングの良さがいかんなく発揮された試合だったのだ。
試合終了のホイッスルの後、ミラとサレンコは仲良く記念撮影に応じるなど、素直に偉業達成を喜んだ。ともにグループリーグ敗退となり、ワールドカップでのプレーはこれが最後になったが、サレンコはスウェーデン戦で挙げた1点と合わせて計6点をこの大会で挙げ、ブルガリアのフリスト・ストイチコフとともに大会得点王に輝き、永遠に歴史に名を残すこととなった。
今回のブラジル大会で、コロンビアのファリド・モンドラゴン(43歳)が日本戦に交代出場を果たしたことで、ミラの最年長出場記録は破られたものの、20年前の今日生まれたふたりの記録は、まだ当分の間、破られることはなさそうだ。
すでにこの大会では、2戦目のブラジル戦で交代出場したカメルーンの42歳、ロジェ・ミラがワールドカップ史上最年長出場という記録を樹立していたが、このロシア戦では後半からの出場でいきなりゴールを奪い、今度は最年長得点記録を更新。屈強なロシアDFに身体を寄せられながらもバランスを崩すことなく、力強いシュートを放ったのはさすがだった。
82年スペイン大会で脚光を浴びたカメルーンの中心選手として活躍し、90年イタリア大会ではセミリタイヤ状態だったのを、当時の大統領からの要請を受けて代表復帰。2戦目のルーマニア戦で2ゴールを挙げ、一躍ブームを巻き起こした38歳の“老兵”に世界は惜しみない称賛の拍手を贈ったが、まさかその4年後にまた偉業を成し遂げるとは、誰も予想しなかった。
ただこのゴールは、試合全体で見れば「焼け石に水」となった。なぜなら、前半の時点ですでにカメルーンは、ロシアに3ゴールを許していたからだ。そしてその全てを挙げたのがオレグ・サレンコ。この試合で、もうひとつの大記録を作り上げた男である。1989年のワールドユースで得点王に輝き、93年よりスペイン(当時はログロニェス在籍)でプレーしていた点取り屋が、その得点力を爆発させた。
開始15分に速い攻撃から先制ゴールを決めたサレンコは、41分にもこぼれ球を詰めてゴール、さらに44分にはPKを決め、前半のうちにハットトリックを達成していた。後半に前述のミラのゴールで1点を返されるも、サレンコは72、75分と得点を追加。チームの6-1の大勝に大貢献したのだった。これらのゴールは、いずれも技術的にはさほど難易度の高いものではなかったが、逆に言えば、ストライカーとしてのサレンコの状況を読む能力とポジショニングの良さがいかんなく発揮された試合だったのだ。
試合終了のホイッスルの後、ミラとサレンコは仲良く記念撮影に応じるなど、素直に偉業達成を喜んだ。ともにグループリーグ敗退となり、ワールドカップでのプレーはこれが最後になったが、サレンコはスウェーデン戦で挙げた1点と合わせて計6点をこの大会で挙げ、ブルガリアのフリスト・ストイチコフとともに大会得点王に輝き、永遠に歴史に名を残すこととなった。
今回のブラジル大会で、コロンビアのファリド・モンドラゴン(43歳)が日本戦に交代出場を果たしたことで、ミラの最年長出場記録は破られたものの、20年前の今日生まれたふたりの記録は、まだ当分の間、破られることはなさそうだ。

サレンコは大会後、スペイン、スコットランド、トルコなどを渡り歩き、ウクライナ代表としてもプレーして、2001年で現役引退。その後はウクライナのビーチサッカー代表監督や連盟スタッフを務めている。 (C) Getty Images
6月28日には他にも、58年スウェーデン大会の3位決定戦でフランスのジュス・フォンテーヌが4ゴールをマーク。ひとつ大会で13ゴールといういまだ破られぬ大記録を達成して、大会得点王に輝いた。
82年スペイン大会の2次リーグではポーランドのズビグニエフ・ボニエクが持ち前の得点力を発揮してハットトリック達成。先制の弾丸ミドルは強烈なインパクトを与えた。その4年後のメキシコ大会では3位決定戦でフランスが勝利したが、ミシェル・プラティルなどによって築き上げてきたフランスの黄金時代がこの大会をもって終焉を迎えた。
そして98年フランス大会では決勝トーナメント1回戦でフランスとパラグアイが激闘を展開。ジネディーヌ・ジダンを欠いた開催国が攻勢を保つも、名GKホセ・ルイス・チラベル擁するパラグアイはゴールを割らせない。しかし113分、ついにロラン・ブランのゴールで力尽きた。試合後、泣き崩れるチームメイトを慰めるチラベルの気丈さと優しさは、観る者に大きな感動を与えた。
◆6月28日に行なわれた過去のW杯の試合
1950年ブラジル大会
「1次リーグ」
ブラジル 2-2 スイス
メキシコ 1-4 ユーゴスラビア
1958年スウェーデン大会
「3位決定戦」
フランス 6-3 西ドイツ
1982年スペイン大会
「2次リーグ」
ベルギー 0-3 ポーランド
オーストリア 0-1 フランス
1986年メキシコ大会
「3位決定戦」
フランス 4(延長)2 ベルギー
1994年アメリカ大会
「グループリーグ」
ロシア 6-1 カメルーン
ブラジル 1-1 スウェーデン
イタリア 1-1 メキシコ
アイルランド 0-0 ノルウェー
1998年フランス大会
「決勝トーナメント1回戦」
フランス 1(延長)0 パラグアイ
ナイジェリア 1-4 デンマーク
2010年南アフリカ大会
「決勝トーナメント1回戦」
オランダ 2-1 スロバキア
ブラジル 3-0 チリ
82年スペイン大会の2次リーグではポーランドのズビグニエフ・ボニエクが持ち前の得点力を発揮してハットトリック達成。先制の弾丸ミドルは強烈なインパクトを与えた。その4年後のメキシコ大会では3位決定戦でフランスが勝利したが、ミシェル・プラティルなどによって築き上げてきたフランスの黄金時代がこの大会をもって終焉を迎えた。
そして98年フランス大会では決勝トーナメント1回戦でフランスとパラグアイが激闘を展開。ジネディーヌ・ジダンを欠いた開催国が攻勢を保つも、名GKホセ・ルイス・チラベル擁するパラグアイはゴールを割らせない。しかし113分、ついにロラン・ブランのゴールで力尽きた。試合後、泣き崩れるチームメイトを慰めるチラベルの気丈さと優しさは、観る者に大きな感動を与えた。
◆6月28日に行なわれた過去のW杯の試合
1950年ブラジル大会
「1次リーグ」
ブラジル 2-2 スイス
メキシコ 1-4 ユーゴスラビア
1958年スウェーデン大会
「3位決定戦」
フランス 6-3 西ドイツ
1982年スペイン大会
「2次リーグ」
ベルギー 0-3 ポーランド
オーストリア 0-1 フランス
1986年メキシコ大会
「3位決定戦」
フランス 4(延長)2 ベルギー
1994年アメリカ大会
「グループリーグ」
ロシア 6-1 カメルーン
ブラジル 1-1 スウェーデン
イタリア 1-1 メキシコ
アイルランド 0-0 ノルウェー
1998年フランス大会
「決勝トーナメント1回戦」
フランス 1(延長)0 パラグアイ
ナイジェリア 1-4 デンマーク
2010年南アフリカ大会
「決勝トーナメント1回戦」
オランダ 2-1 スロバキア
ブラジル 3-0 チリ