【今日は何の日?】6月22日「マラドーナによる極上のペテンと魔法」

カテゴリ:国際大会

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年06月22日

英国人を怒らせた「神の手」と世界が絶賛した「5人抜き」。

足にボールがくっついている、と表現されたマラドーナのドリブル。スピードに乗らせたら、もはや誰もファウルでしか止められなかった。 (C) Getty Images

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 1986年メキシコ大会の準々決勝でアルゼンチンとイングランドの対戦が決まった時、まず世界中の人々が思い浮かべたのは、80年代初頭に両国間で勃発したフォークランド(マルビナス)紛争だった。サッカーと政治は別物とは言われるが、現実にはアルゼンチンのエース、ディエゴ・マラドーナ自身が、後に「紛争のリベンジと考えていた」と明かしているのだ……。
 
 6月22日のエスタディオ・アステカ。試合は前半からマラドーナのドリブルが冴え渡り、イングランドはこれをファウルでしか止められない。それでも、GKピーター・シルトンを中心とした守備陣が要所を締めて、0-0のままハーフタイムを迎えた。
 
 後半開始から6分、スタジアムに歓声と怒号が響き渡る。マラドーナがドリブルを仕掛けて前線のホルヘ・ヴァルダーノへパスすると、イングランドDF陣が懸命に足を伸ばしてGKシルトンに浮き球のバックパスを送る。そこへリターンパス狙いでゴール前に突進したマラドーナが、迷うことなくジャンプ。対応が遅れたシルトンの目の前でボールを捉えて、ゴールに流し込んだ。ただし頭ではなく、本人いわく「神の手」という名の左手で……。
 
 当然、イングランドの選手はもちろん、スタンドのイングランドファンもハンドをアピールしたが、アリ・ベンナシュール主審はこれを認めず、キックオフからの試合再開を命じる。「とんだペテンによってゴールを盗まれた」(シルトン)と憤慨するサッカーの母国の民。しかしその4分後、今度はその“ペテン師”が見せた魔法のようなプレーに、イングランド人はただ沈黙するするしかなかった。
 
 自陣センターサークル付近でボールを受けたマラドーナは、軽やかな3つのボールタッチでピーター・ベアズリーとピーター・リードを置き去りにすると、そこから一気にスピードを上げてゴールに向かう。テリー・ブッチャー、テリー・フェンウィックをいとも簡単にパスし、最後は懸命に手を伸ばすシルトンをもかわして、左足でゴールに流し込んだのだ。永遠の伝説となる「5人抜きゴール」の完成だ。
 
 この後イングランドは、ガリー・リネカーが自身の大会得点王を決するゴールを挙げたものの、再度アルゼンチンDF陣を破ることはできなかった。勝ったアルゼンチンはこれでさらなる勢いを得て、優勝への道を突き進んでいく。マラドーナはますますプレーに凄みを増して、準々決勝のベルギー戦では2ゴール、西ドイツとの決勝戦では決勝ゴールをアシストと、圧倒的な存在感を示すのだった。
 
 マラドーナによる、まったく両極端のふたつの伝説的ゴールが決まった一戦。イングランド人は今でも、1点目を非難しながらも、同時に2点目には最大級の賛辞を送る。もっとも、「最初の“ペテン”がなければ、あの“魔法”は生まれなかった」と皮肉を付け加えるのも忘れないが……。
 
――◆――◆――
 
 6月22日には他にも、74年西ドイツ大会で東西ドイツの対決が実現。冷戦時代の両陣営の象徴とも言える二国の対戦は、東側に軍配が上がった。94年アメリカ大会では優勝候補のコロンビアを開催国アメリカが下す大波乱。ここでオウンゴールを決めたアンドレス・エスコバルに後日、最大級の悲劇が起こるとは……。

 2002年日韓大会では韓国がスペインをPK戦で下して準決勝進出を果たすも、審判の判定を巡って後味の悪いものに。06年ドイツ大会では、日本は決勝トーナメント進出にわずかな望みをかけてブラジルに挑むも、過酷な現実を見せつけられた。

 そして前回大会のフランス対南アフリカ戦では試合後、フランスのレイモン・ドメネク監督が南アフリカのカルロス・アルベルト・パレイラ監督との握手を拒否。選手との確執でチームを崩壊させたこともあいまって、激しい非難を浴びることとなった。
 
 
◆6月22日に行なわれた過去のW杯の試合
 
1974年西ドイツ大会
「1次リーグ」
オーストラリア 0-0 チリ
東ドイツ 1-0 西ドイツ
ユーゴスラビア 1-1 スコットランド
ブラジル 3-0 ザイール
 
1982年スペイン大会
「1次リーグ」
ポーランド 5-1 ペルー
ベルギー 1-1 ハンガリー
ソ連 2-2 スコットランド
 
1986年メキシコ大会
「準々決勝」
アルゼンチン 2-1 イングランド
ベルギー 1(5PK4)1 スペイン
 
1994年アメリカ大会
「グループリーグ」
スイス 4-1 ルーマニア
アメリカ 2-1 コロンビア
 
1998年フランス大会
「グループリーグ」
コロンビア 1-0 チュニジア
ルーマニア 2-1 イングランド
 
2002年日韓大会
「準々決勝」
スペイン 0(3PK5)0 韓国
セネガル 0(延長)1 トルコ
 
2006年ドイツ大会
「グループリーグ」
チェコ 0-2 イタリア
ガーナ 2-1 アメリカ
日本 1-4 ブラジル
クロアチア 2-2 オーストラリア
 
2010年南アフリカ大会
「グループリーグ」
メキシコ 0-1 ウルグアイ
フランス 1-2 南アフリカ
ナイジェリア 2-2 韓国
ギリシャ 0-2 アルゼンチン
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